不正行為に関する再発防止策について

ピックアップニュース 2020/02/19

一般財団法人日本モーターボート競走会は、「不正行為に関する再発防止策」についての記者会見を下記のとおり開催いたしました。
 
1.日時 令和2年2月19日(水)15:30~17:15
2.場所 笹川記念会館6階会議室
3.出席者
一般財団法人日本モーターボート競走会 会長 潮田 政明(うしおだまさあき)
一般財団法人日本モーターボート競走会 理事 渡邉 哲宏(わたなべてつひろ)
五木田・三浦法律事務所 弁護士 三浦 雅生(みうらまさお)
 
4.報道関係者 19社25名
5.内容 下記参照
 
 
不正行為に関する再発防止策について
 
去る令和2年1月8日に、元選手がモーターボート競走法違反容疑で逮捕、起訴されると共に、新たに10場、18レースの不正に関する容疑で再逮捕され、2月17日に追起訴されるという不祥事が発生いたしました。このような不正レースの発生といった不祥事は、業界の歴史上に前例はなく、お客さまの信頼を裏切ることは誠に遺憾であり、大変残念でなりません。このことを厳粛に受け止め、深くお詫び申し上げます。
ボートレースは、昭和27年の初開催以来68年、「お客さまあってのボートレース」という基本理念のもと、常に公正・厳正な競走の運営に努めてまいりました。
選手の養成においては、精神教育として「礼と節」を身に着けさせるとともに、競走法規や操縦・整備等の教育・訓練を1年間かけて、外出も制限するような厳しい環境の中で実施しております。  
競走開催中の管理体制においては、外部との接触や通信を禁じ、緊急を要する電話も、当会管理員が必ず立会う等、大変厳しい体制の中で選手を管理しております。
審判業務では、競技規程に基づく厳格な判定を行うとともに、検査業務では、検査器具の充実や、監視体制、私物検査の強化を図るなど、公正の確保に努めており、今日までの業界の取り組みは、お客さまからは高く評価され、信頼を得てまいりました。
しかしながら、このたびの、たった1人の身勝手な、心無い元選手の行為により、お客さまや関係者を裏切る事態を招いてしまったことは残念でなりません。名古屋地方検察庁の厳しい捜査においては、本件は元選手1名とその親族による不正行為であり、業界が関与する組織的な不正行為ではありませんでした。
当会といたしましては、今回の不祥事により、お客さまをはじめ、多くの方々の信頼を裏切ることとなり、改めて大変重大なことと受け止め、心より深くお詫び申し上げます。
今後は、裁判で全容が明らかにされることとなりますが、当会では、このような事態を受け、いち早く、業界の主要団体の役職員で構成します、「モーターボート競走の不正行為の防止に関する対策委員会」を設置し、更なる公正を確保するため種々検討を行い、このたび、「不正行為に関する再発防止策」が取りまとまりました。
 
不正行為に関する再発防止策の内容は、以下のとおりとなります。
 
I.不正行為の発生要因
1.モラル、コンプライアンスに対する教育、指導が不充分。
2.私物検査体制が不充分。
3.外部(ネット・ブログ等)・内部(選手・関係者等)からの情報収集体制が不充分。
 
II.事案発生後、直ちに実施した再発防止策
1.選手及び関係者への指導文書(公正の確保について)の発信
2.管理・検査体制の強化
(1)全レース場に金属探知機3個を追加導入。
(2)私物検査に対応する職員数を、現在の5~6名から7~9名へ増員するとともに、競技部内の各所を巡回する職員等を別途配備。
(3)レース場競技部内の選手控室ロッカー内及び選手宿舎の居室等での抜き打ち中間私物検査を実施。
 
III.今後実施する再発防止策
1.指導・研修会等の強化
(1)デビュー前の養成員、選手、審判員及び検査員に対して行う各種訓練及び研修会や、選手とその家族に対するふれあい研修会において、モラル、コンプライアンスの教育を強化。
(2)私生活の諸問題を把握するため、ふれあいフリーダイヤルの活用方法の周知や、公正指導員及び公正指導委員による面談対象者を拡大するとともに、面談回数を増加。
2.倫理規程等の制定
現在、モラル等の指導の基本としている、「モーターボート関係者の心構え」の内容を見直し、理解促進を図るための関係者への説明会の実施や、ポスター等による啓蒙普及。
 
3.管理・検査体制の強化
(1)私物検査における選手の立ち入り禁止区域の明確化、ゲート型の金属探知機の導入等、管理・検査体制全般を再構築。あわせて、選手宿舎等において、外部との通信手段となる携帯電話の抑止装置を導入。
(2)報道関係者、業者、お客さまのピット見学等において、競技部内における通信機器使用禁止を徹底。
 
4.内部通報制度の導入
ふれあいフリーダイヤルの活用や、メールによる専用相談窓口を新たに設置し、内部通報制度を導入。
 
5.不正行為の監視体制の確立
ネット・ブログ等での書き込みや内部通報に対して、異常投票や疑いのあるレース映像を検証するための委員会を設置。
 
6.褒賞懲戒規程等の厳罰化
更なる公正の確保を図るため、褒賞懲戒規程の懲戒処分の上限の引き上げ。
 
7.競技運営に関する内部監査の実施
当会が定める内部監査要領に基づき、審判・検査・管理等の業務に対する内部監査を実施。
 
今後、これらの再発防止策を着実に実行し、失われたお客さまの信頼の回復に向けて取り組んでまいります。
 
令和2年2月19日
 
一般財団法人日本モーターボート競走会
会長  潮田 政明
 


 
対策委員会について
 
1.名称 モーターボート競走の不正防止に関する対策委員会
2.設置目的
モーターボート競走における不正行為の防止を図り、公正かつ健全な競走運営を確保するため、競走会会長の諮問機関としてモーターボート競走の不正行為の防止に関する対策委員会を設置する。
3.設 置 日 令和2年1月21日
4.委員
一般財団法人日本モーターボート競走会   2名
一般社団法人全国モーターボート競走施行者協議会  2名
公益社団法人日本モーターボート選手会   2名
全国モーターボート競走施設所有者協議会  1名
一般財団法人BOATRACE振興会  2名
五木田・三浦法律事務所 弁護士  1名
 


 
質疑応答
 
・共同通信
Q.現段階での回答になると思うが、このような事態に拡大し、どこに一番の原因があったと考えているか。
 
A.選手のモラルに対する認識不足と検査体制が充分でなかったことに原因があると考える。選手のモラルに関する部分では、指導として、研修会等にコンプライアンスやモラル向上となるカリキュラムを設定するとともに、研修会への参加対象者を拡大することを考えている。
検査体制については、簡易式金属探知機の導入、私物検査時の検査員の増員、ボディーチェックの徹底、検査時間の拡大、抜き打ち検査の実施等の検査体制の強化、徹底を既に図っており、今後はゲート型の金属探知機や電波遮断機の導入等についても、検討している。
 
・サンケイスポーツ
Q.全容は解明されたのか。全容が明らかになっていない状況で再発防止は可能なのか。
 
A.全容は今後裁判で明らかになると思う。この再発防止策はスマートフォンを持ち込んで不正を行ったという前提で当会の役職員や有識者、関係者で再発防止策を作成した。今後公判で事件の全容が明らかになり、新たな課題や問題点が見つかれば、再発防止策に追加する。
 
・日刊スポーツ
Q.国土交通省からの指導等はないのか。再発防止策については、国土交通省に報告したのか。この防止策でよいと認めたのか。
 
A.国土交通省から指導文書をいただいている。また、全国24場の検査体制を確認していただき、現在の競走運営体制を再確認し、公正かつ健全な競走運営の確保に万全を期すよう厳しく指導されている。この再発防止策は国土交通省に報告し、ご了解をいただいている。
 
・公営レーシングプレス
Q.今回の件に関して、競走会、あるいは業界側の責任をどのように考えているか。
 
A.大変重大な問題だと受け止めている。全容解明、再発防止に取り組んでいかなければならない。再発防止策をしっかりと確立してお客様の信頼を回復することが競走会の一番の責任だと考えているが、この事案については、不正に通信機器を持ち込まれたとはいえ、選手指導や検査体制に起因するところは反省しなければならない。従って競走会役員全員を処分するとともに、元選手が不正を行った11のレース場の執行役員及び競技委員長の処分を考えている。
処分の対象者は30名で、会長・専務理事は6ヶ月10%の報酬減俸、常務理事・理事は3ヶ月10%の報酬減俸、執行役員は2ヶ月10%報酬減俸、競技委員長は内規による処分とする。
 
・読売新聞
Q.今回の再発防止策には、起きた事故への実態調査の部分が抜け落ちていると思う。実態調査は行っていないのか。
 
A.これまで、捜査へ全面協力していた。その中で当会独自に検察の捜査へ影響が出ない範囲で、数十名の選手、審判員・検査員へのヒアリングを行った。今後は、それ以外の選手にも定期訓練やレースの開催に合わせて随時面談ヒアリングを行っていきたい。ヒアリング内容については公判に関係することから回答は差し控えさせていただくが、ヒアリングで出てきた内容や意見については必要であれば再発防止策に盛り込んでいきたい。
 
・中日新聞
Q.ネットを見ると逮捕前から怪しいという話題があった。競走会に問い合わせをしたという人もいたがその時に競走会は何も対応していなかったのか。
 
A.対応については公判に関することなので差し控えたいが、情報収集という面で我々が遅れていたと言わざるを得ない。今後は、再発防止策にある通り、内部通報制度の導入や風評やネットの書き込み等の情報を吸い上げる仕組みを構築し、検証委員会等でしっかり検証していきたい。
 
・NHK
Q.今回インコースが有利というボートレースの特性を悪用された不正だと思うが、その点についてはどう思うか。
 
A.選手に対しては養成時から全能力の発揮という教育を徹底しているが、元選手が不正を行い、ボートレースの魅力を悪用したということは大変残念である。今後同じようなことが起きないようモラル、コンプライアンスに対する教育、指導を再徹底する。また、教育指導だけでなく、検査体制の強化なども併せて進める。
 
・NHK
Q.不正レースに関する払い戻しは行わないのか。行わない場合、代替策はあるか。
 
A.レースは成立しているので、法律上払い戻しができない。なお、モーターボート競走法第20条により、60日を経過すると債権が消滅することになっている。代替策についても現行法上、対応できない。どうかご理解いただきたい。
 
・読売新聞
Q.事前に申し合わせていればスマートフォンも持ち込まずに不正を行うこともできると思うがその点についてはどう思うか。
 
A.再発防止策にある「不正行為の監視体制の確立」の一環として、競走会、選手会、施行者等の業界関係者に第三者(外部の有識者・専門家)を含めて検証委員会を設置する。今後同じようなことが起きないようモラル、コンプライアンスに対する教育、指導を再徹底する。
 
・スポーツニッポン
Q.再発防止策にあるゲート型金属探知機や通信抑止装置の設置はいつになるか。また、設置したことをファンに発表する予定はあるか。
 
A.ゲート型金属探知機は今年度中に全国に設置予定である。通信抑止装置は何場かで先行導入し随時全国に展開する予定である。設置が完了すればファンに対して公表する。
 
・朝日新聞
Q.西川元選手への損害賠償は検討しないのか。
 
A.現時点では回答できないが、全容が明らかになったところで関連団体と検討したい。
 
・読売新聞
Q.不正行為の監視体制の確立について、書き込みに対して異常投票や疑いのあるレース映像を検証する委員会とは具体的にどのようなものか。
 
A.ネットへの書き込みや投票などのデータを総合的に、複数の関係者や外部委員で確認して、検証することになると思う。
 
・読売新聞
Q. 証券取引等監視委員会では、株価が異常にあがるとアラームが鳴るシステムがあり、それによりインサイダー取引や相場操作をチェックするシステムを導入しているが、同様なシステムを考えているか。
 
A.証券関係にそのようなシステムがあるのは知っているが、それが活用できるのであれば将来的には、視野に入れて検討したいと思う。
 
・読売新聞
Q.検証するための委員会というのは、どういう人で構成するのか教えていただきたい。
 
A.委員構成は関係団体と法曹界も含めた有識者で考えている。
 
・読売新聞
Q.今回の再発防止策は最終的なものなのか。
 
A.国土交通省にも報告し、基本的には最終的なものと考えるが、裁判等で新たな事実が判明すれば、足りない部分を追加して対策を立てていくことになる。
 
・東京スポーツ
Q.選手には厳しいものになっていると思うが、選手も再発防止に向けて一丸となっているということで良いか。
 
A.今回の件を受けて大変厳しい検査を実施しているが、選手は誰一人、不平不満を言うことなく、しっかりと検査を受けている。
 


 
2月19日記者会見出席社 19社 25名
 
NHK 2名
時事通信社 1名
共同通信社 2名
朝日新聞社 1名
読売新聞中部支社 1名
中日新聞 1名
日刊ゲンダイ 1名
夕刊フジ 1名
東京中日スポーツ 1名
スポーツニッポン 2名
日刊スポーツ 1名
日刊スポーツ新聞西日本 1名
スポーツ報知 1名
サンケイスポーツ 2名
デイリースポーツ 1名
東京スポーツ 1名
マクール 3名
ボートボーイ 1名
公営レーシングプレス 1名