史上初の夏冬完全女王誕生なるか！？ 遠藤が2度目のクイーンズC優勝を狙う！

過去のウイナーから、PGIクイーンズCの傾向を探ってみたい。出場決定時の獲得賞金順位を見てみると、初日トライアル1号艇スタートの1、2位から優勝までこぎ着けたのは第2回大会の平山智加（香川）、第6回大会の遠藤エミ（滋賀）の2人のみ。第4回大会の川野芽唯は10位、第7回大会の松本晶恵は11位、第8回大会の今井美亜は9位と、初日外枠スタートからの下克上を果たしている。トライアル1回戦での1号艇スタートが有利なのは間違いないが、大きなアドバンテージにはなり得ていない。今回の舞台・福岡は全国でも有数の捲り水面。下克上が起きやすい土壌は整っている。

女子の4大特別戦、クイーンズC以外のGIIレディースAS、PGIレディースC、GIIレディースCCとの相関関係も実に興味深い。

同じ年に複数のタイトルを獲得しているのはレディースCCとクイーンズCを制した17年の遠藤のみ。年間を通して調子を維持することの難しさを表している。遠藤は史上初の夏冬のGI連覇が懸かるが、このジンクスを跳ね返せるかに注目したい。

下半期の調子の良さなら平高奈菜（香川）と渡邉優美（福岡）が双璧か。平高は11月の丸亀周年で優出、7月のBR甲子園でも優出と、いくら地元とはいえ男子相手にこの活躍は選手としてワンランク上がった証拠。4月に当地で優勝を決め、地の利まで得ているとあって、史上初のクイーンズC連覇へ最高の準備ができている。

渡邉の充実ぶりも平高に負けず劣らず。前期は持ち前の旋回力に磨きが掛かり、レディースCでのGI初優出に、初の7点勝率と殻を一つどころか二つも三つも破る成長ぶり。勝手知ったるホームで能力を最大限に発揮できる条件が整うだけに、クイーンズC初出場初Vも決して夢物語ではない。

当地は全国屈指の難水面とあって水面実績も見逃せない。地元エースの小野生奈（福岡）には大きなアドバンテージがある。当地V4で元・地元の寺田千恵（岡山）、通算5優出でV3の平山、9月のAレディースで悲願の全場制覇を成し遂げた田口節子（岡山）も福岡では強い。

逆に守屋美穂（岡山）、細川裕子（愛知）は当地でのV経験がなく優出回数も2回と少なめ。守屋は平高と同様、男子相手にも互角に戦える有力なV候補だが、ここが唯一のウイークポイントか。悲願のクイーンズC初Vへは、水面への対応がカギになりそうだ。

福岡は展示タイムの計測位置が60m手前にズレていることで、他場とは違い、伸びではなくレースで最も重要とされる、行き足がタイムに反映される。それが全国屈指の舟券貢献度の高さに繋がっている。これを念頭に置いて、昨年から導入されたオリジナル展示データの結果を見てもらいたい。

特に注目は一周タイムトップの成績で、舟券貢献度が高い展示タイムトップの成績を、1着率、2連率、3連率の全ての項目で上回っている。通算（20年5月〜）で見ても1着率42.8%、3連率は76.5%と強烈で、現モーターになってからでも3連率が70%を割ったのはわずかに1節しかない。この“悪い時がない”のは信頼の証だ。

ちなみに一周タイムトップの平均値である1着率40%、2連率65%、3連率75%を選手に当てはめると、ほぼ峰竜太と同等の数字。つまり、一周タイムトップは峰と同じ強さで、毎レース峰が走っていると思えば舟券対策に欠かせないのは明らかだ。