福岡を攻略する

海から吹く風が、うねりと波乱を呼ぶ。
クセのある水面 福岡を攻略する 「スーパーイン受難」水面から、「イン受難」水面に?! 推理の前に風向きと展示タイムの確認を。 森大輔●「西日本スポーツ」

競走水面

満潮なら難水面、干潮なら静水面

 福岡は、気象条件が他のレース場よりもレースに与える影響が大きい。とくに潮回りは絶対に頭に入れておかなければならない。満潮なら全国屈指の難水面、干潮なら全国でも有数の静水面と、1日の間で水面の表情が大きく変わるのが特徴だ。


福岡の競走水面は1マークが那珂川にせり出している

海から吹けば逃げ、陸からなら捲り

2マークは狭く、助走距離は
最大でも180m程度

 そして、この潮回りと組み合わせて考えたいのが風向き。福岡では切っても切り離せないうねりがひどくなるのは、北、北西、北東とどれでも良いが、とにかく海側からの北風が吹いたときだ。この場合は、逃げや差しが決まりやすい。

 反対に抜群の水面になるのが、スタンド側から吹く南風。これなら少々強めの風が吹いても水面は落ち着く。スピードレースが期待でき、捲りや捲り差しが決まりやすくなる。



モーター

節イチは日替わり、見極めが重要


福岡のピットアウトは2マークのバック側から

 出力低減機に切り替わって、上位とそれ以外で差が大きいのは間違いないが、飛び抜けたエース機が存在しないのも事実。加えて、前検日から最終日までずっと良い状態であることも少なくなっている印象だ。

 そのため、良い状態のピークがどこなのかを見極めるのが重要。Sランク、Aランクを引いた選手のなかから、日替わりで節イチが推移していくのが現在の福岡だ。

モーターランキング(9月7日現在)
S  (エース級) 39、59
A+(準エース級) 29
A  (上位級) 20、28、41、49、53、72、75
B  (中堅上位級) 12、14、15、26、31、32、37、43、45、46、50、52、54、55、60、68、70

レース

イン1着率は40%台までアップ

 出力低減機が導入されて変わったのは、インの1着率が上がったということ。平均して、小カバー型時は20%台、デカカバー型時で30%台だったイン1着率が、現在では40%台まで上昇した。9月7日までに8節開催されているが、イン1着率が40%を割ったのは1節のみ。以前の「スーパーイン受難」水面から「イン受難水面」へと様相が変わっている。

 しかし、全国的に見ればイン1着率は低い部類で、イン受難であることに変わりはない。3コース1着率が全国一高いことや、決まり手で捲りが多いことも相変わらずだ。

 これを踏まえると、1日平均3~4本だった逃げが、4~5本に変わったと考えれば良いだけで、数字ほどインが強くなった印象はないのでご用心を。

現行モーター導入後の節間決まり手
開 催 イン1着率 逃げ 差し 捲り 捲り差し 抜き 恵まれ  
6月一般戦 41.7% 29回 14回 14回 8回 5回 2回
7月一般戦 37.5% 22回 12回 19回 10回 9回 0回
7月県内戦 41.7% 26回 8回 12回 11回 13回 2回
7月一般戦 50.0% 34回 11回 15回 5回 7回 0回
8月一般戦 50.0% 34回 12回 13回 7回 5回 1回
8月お盆戦 50.0% 33回 10回 17回 3回 8回 1回 (良機)
8月一般戦 41.7% 24回 8回 12回 13回 3回 0回 (低調機)
9月女子戦 45.8% 28回 9回 16回 9回 9回 1回 (良機)

展示タイム発表時は場内が静かに

9月のオールレディースで優勝した小野生奈は10戦のうち9回が展示タイムトップだった

 出力低減機になっても、展示タイムトップの信頼度は変わっていない。福岡は展示タイムの計測位置が1マーク側に60m寄っているだけに行き足までが入るので、モーターの差がそのままタイムに出る。

 これがポイント。多くのファンでごったがえす本場内でも、展示タイム発表時はシーンと静かになる。それほど集中して書き取るぐらい、当地の展示タイムは大きな情報だ。