若松パイナップルナイター 5つのポイント
水面の特徴としては、洞海湾の深部に位置し、潮の干満によって流れがあること。干潮時から満潮に向かうときは2マーク側から1マーク側に潮が満ちてくる、いわゆる「追い潮」になる。スリット付近では後ろから潮が追いかけてくるために、追い風を受けるような格好になり、スタートが早くなる。
逆に満潮時から干潮に向かうときには、1マーク側から2マーク側に潮が引くことになり、スリット付近では向かい風を受けるような感じになる。これは、潮の大小によって変わる。大潮であればその影響は大きく、小潮になれば影響は小さくなる。
これに風の影響も加わる。夏場は基本的には南西の風で、西が入るとスリットでは向かい風だが、追い風で追い潮ともなればスタートはさらに早く、難しくなる。地元の選手は「スローで小回りブイを回るときに、潮の早さがだいたいわかる。それを見てスタートを調整する」と言う。
コースの特徴は、1マークが狭いことが挙げられる。1マークからスタンド側の消波装置までの距離は41m。そして1マークから1マーク側の正面岸までの距離は77m。これは九州地区では広い水面の唐津と比較すると、1マーク側の正面岸までの距離は約25mも違う。さらに、2マークからスタンド側の消波装置までの距離も若松では64mで、唐津の70mと比較するとかなり短い。
このため、スリットから1マークにかけては艇間が狭まり、インは逃げやすくなる。若松の昨年6月から1年間のインの1着率は57.0%。昨年5~10月までの夏場の1着率は55.9%。パワーダウンする夏場は、インの相場がわずかに落ちている。


2013年1月22日、九州地区選から全国初のレーザー自動測定による1周タイムの提供を始めた。展示タイムは直線(=伸び)が反映されるが、1周タイムで回り足の優劣がわかる。さらに、昨年4月19日から導入された直線タイムにより、直線(=出足)と、選手のモーター状態を総合的に判断できる材料が揃った。

中でも、1周タイムに注目したい。展示航走の1周バックのスタートライン延長線から、1周2マーク、2周1マークのターンを経て、1周したタイムのことを指す。2度のターンが反映されるだけに、スムーズなほど好タイムになる。ターンが流れたり、引き波にかかるようだと、当然タイムは悪くなる。
タイムは航跡のない1号艇が好タイムになりやすく、枠番が大きいほど、タイムは悪くなる。逆を言えば、枠番の大きい選手がタイムを出しているときは狙い目になる。記念レーサーになると、旋回力も高く、タイムは揃いそう。特に夏場はモーターのパワーが落ちるだけに、過去の同時期を見ても37秒台が中心になりそうだ。その中で、好タイムを出す選手は状態が良いと言える。
出場選手では毒島誠、茅原悠紀、秋山直之らはしっかりタイムを出してくるタイプなので、他の選手との比較で仕上がり具合が判断しやすいと見る。さらに、地元の若手、仲谷颯仁や羽野直也にも注目だが、オーシャンカップ前で、最も直近で若松を走った木下翔太からも目が離せない。
今年1~5月の5ヵ月間の若松コース別1着率は、1コースから58.7%、15.5%、9.1%、9.5%、5.6%、1.9%となっている。福岡3場で1号艇の1着率は芦屋の64.7%がトップ。続いて若松。独特のうねりがある福岡は47.0%となっている。福岡に限って言えば、インが弱い分、どこの枠からでも出番があり、荒れる水面でもある。

ナイターの若松は、昼と夜とでは温度差が大きい。高配当が良く出るのは昼間の気温の高い時間帯。夕暮れになり気温が下がるにしたがってインが幅を利かせてくる。
高配当のキーポイントは、カド4コースだろう。右隣の5コースが捲り差しで突き抜け、6コースが絡むレースは高配当に繋がる。若松はモーター差も大きい。ただ、5月7日から温水パイプが外されてモーター相場も変わってきた。ボートの良否も海水の割にはかなり差があるが、6月15日に新ボートに替わったばかりで未知数。モーターの見極めが先決だ。
当然、風向きに風の強弱も舟券に大きく左右するのは言うまでもない。若松は風が吹き抜けるため、前日の予報で3〜4mとあっても当日は8m前後の強風もよく目にする。7月の風は南南西に南の風が多い。ホーム向かい風か斜め左横風。風次第ではカド一気の展開も。
今回は実力接近のSG。波乱は足の固まらないシリーズ序盤だろう。中盤からはスタートも横一線か。その図柄で、狙いは3コースの捲りに5コースの全速捲り差し。5コースが抜ければ高配当間違いなしだ。

若松の一般戦における番組傾向としては、前半の第1~4レースはオールB級戦、敗者戦もあるような混戦番組となる。各地のデイレースが終わった後に行われる第5レースからは基本的にA級レーサーが1号艇に配され、内水域優位に推移することが多い。
さらに第9レースからは1号艇にはA1級を置き、インの信頼度はさらに増していく。節の主役の初日ドリーム組は準優までは同じレースにならず、各レースで目玉選手として人気を集める。
また、地元の選手が勝ちやすいような番組が組まれることも多く、節目の記録や、期待の若手の水神祭などへの配慮も見られる。この流れもあり、これまで第5、8レースで行われていた進入固定戦が、今年4月から第5レースの1回のみとなった。これは地元の若手のチャンスを進入固定戦の6号艇で潰さず、なるべく多くのチャンスを与えて、地元のスター選手を育てていきたい、との思いから廃止になったと見られている。

モーターの優劣で強弱をつけることもありそうだ。これまでのSGやGIにおいては、低調機を引いてしまった選手には5、6着を並べて予選突破が絶望的となる前、なるべく早い段階で1号艇を与えて、予選突破へ希望を見出してもらうように構成されている。当地のSGやGIにおいては、低調機のインでもスタートを踏み込んで逃げることが多数あるため、舟券作戦上では注意が必要だろう。
また、予選が終わった5日目からの一般戦では、予選落ちした銘柄級が1号艇に、最終日は機力の良い選抜組が1号艇に配されることが多く、日増しに1号艇の信頼度が上がっていく印象が強い。

現モーターは12月が初下ろしで半年間使用。温水パイプが外れてやや変動はあったが、相場はほぼ固まっている。
36、16、20が3強として君臨。中でも、エース36は時期も乗り手も問わず、力感のある強力な足を披露してきた。16は2月の当地地区選で石川真二の調整がドはまり。その後、プロペラの形は変わったが、スムーズなレース足は変わらない。
20は春先に下降線をたどったが、4月に小畑実成の手に掛かり、蘇った。
43は温水パイプが外れて急降下。ただ、直前のシリーズで新プロペラになった影響もありそう。銘柄級の手が入れば復活も十分に期待できる。49、50は現行モーターでは珍しい伸び型。スリットからグイッと出て行く。
