元ボートレーサー土屋幸宏が分析
メモリアルで信頼できるイン巧者は6名
2着受けは2コースより3コースがオススメ
- 徳増 秀樹
- 白井 英治
- 赤岩 善生
- 井口 佳典
- 峰 竜太
- 西山 貴浩
インの1着を買い続けて稼げるのか?
「ボートレースはインから」「実力差の少ないSGはインが強い」は、もはや常識だ。イン=1号艇から売れれば、配当も安くなる。低配当なら当て続けるしかないが、プロの記者でも12Rパーフェクト的中なんて滅多にない。低配当でコツコツ稼いでも、1回外れれば収支は一気にマイナスだ。それなら、イン=1号艇の1着は信頼して、2、3着選手を絞って買い目を減らせないだろうか。
強い選手ほど1号艇が回ってくる
シリーズ中に1号艇がもらえる回数は平等ではない。通常のSGは1日12レースの6日間開催で、1日につき12レース×6名=72名の選手が必要になる。しかし、出場選手は52名しかおらず、不足分の20名を埋めるために考え出されたのが“1日2回走り”である。競輪や競馬にはない制度だ。なお、予選で5走(2回走り×1日)する選手、6走(2回走り×2日)する選手を決めることを出走調整と呼び、SGでは選出順位の高い方から順番に予選6走になる。
SGの予選で同じ枠番が回ってくることはなく、予選6走なら必ず1号艇がもらえる。加えて、予選得点率ベスト3に入れば準優1号艇、予選トップ通過で準優1着なら、優勝戦も1号艇だ。予選落ちや準優で敗退した選手も、5日目以降の一般戦で1号艇がもらえる。選手は最大3回、少なくても1回は1号艇になる。イン1着率が50%を超えている選手は、1号艇を2回もらえば1回は1着を獲る計算になる。66%を超えればさらに確率が上がり、75%超なら軸艇信頼だ。
特に5日目、6日目の一般戦は番組マンの裁量が大きく、準優に乗った選手は大抵1号艇をもらえる。まずは、1号艇=インで勝ってくれる選手を探そう。
メモリアルのイン信頼選手は6名
今回のメモリアル出場選手では、宮島グラチャン覇者の徳増秀樹が93.5%でイン1着率トップ。31走して29勝もしている。2、3位にはドリーム出場常連の白井英治、峰竜太が続く。
ただ、「徳増の1コースは強い」といっても、1徳増から20点買っていたのでは取りガミになる。実際、グラチャンの優勝戦は3連単123で1,050円しかつかず、20点買っていたら950円のマイナスだ。
ほかの選手も同様で、前出のイン1着率上位6名を買い続けた場合、回収率がプラスになるのは赤岩善生と西山貴浩の2名で、徳増は回収率100.1%とほぼ元返し、「走れば売れる」峰の回収率は64.7%しかなかった。
1徳増や1峰の1着は崩れないなら、2着候補を絞り込むしかない。3着は展開次第だから、流しておくのが得策だ。 グラチャンの1徳増は、3日目は134、準優は125だった。
| 順位 | 選手名 | イン1着率 | 3連単回収率 |
|---|---|---|---|
| 1 | 徳増 秀樹 | 93.5% | 100.1% |
| 2 | 白井 英治 | 87.0% | 77.4% |
| 3 | 峰 竜太 | 86.7% | 64.7% |
| 4 | 赤岩 善生 | 80.6% | 112.8% |
| 5 | 井口 佳典 | 80.5% | 97.5% |
| 6 | 西山 貴浩 | 80.0% | 110.1% |
イン巧者は2コースに差し場を与えない
| 1着選手 | 2着コース | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2コース | 3コース | 4コース | 5コース | 6コース | ||||
| 徳増 秀樹 | 24.1% | 41.3% | 17.2% | 10.3% | 6.8% | |||
| 白井 英治 | 40.0% | 20.0% | 30.0% | 5.0% | 5.0% | |||
| 峰 竜太 | 34.6% | 38.4% | 11.5% | 11.5% | 3.8% | |||
| 赤岩 善生 | 24.0% | 32.0% | 28.0% | 12.0% | 4.0% | |||
| 井口 佳典 | 27.2% | 30.3% | 21.2% | 12.1% | 9.0% | |||
| 西山 貴浩 | 40.0% | 30.0% | 0.0% | 15.0% | 15.0% | |||
| 合 計 | 30.7% | 32.6% | 17.6% | 11.7% | 7.1% | |||
まずは、イン1着率上位6名がインで1着を獲った、延べ153レースを分析した。
6名がイン1着時の2着コースを見ると、2コースの30.7%よりも3コースのほうが32.6%と高かった。その要因はスタートだ。
スリット同体、またはトップスタートを切れれば、あとは自分との勝負だ。残り5艇の差し、捲りを封じて逃げることのみを考ればいい。ところが、スリット隊形が崩れたり、スリット後に伸びてくる艇がある時は、とにかく1マークを先に回るか、捲ってきた艇の外にポジションを変えて2、3着残しを狙うかの選択を迫られる。
赤岩のイン戦成績を見ると、31走して平均STは0.09。トップスタートは21回、67%もある。他人より早いスタートを決められれば、1マークの手前で一瞬スピードを落として舟をしっかりと向ける時間ができ、旋回半径の小さいターンができる。スピードターンをする必要がないので、2コースの差しは前を塞がれる形になって、3コースから全速で攻めた選手が2着に入る確率が高くなる。
他の5名のイン平均STも他コースより早く、他艇にトップスタートを切られても、その差は0.03〜0.05程度で、捲る艇に絞められる、捲る艇に抵抗するといったシーンは少ない。ただし1マークで握って回る白井、スタートを合わせるタイプの西山は2コースに差し場ができる。さらに、西山の場合は3回に1回はアウト勢を2着に連れてきており、これが回収率プラスの理由だろう。
イン巧者6名の124は “買ってはいけない”
| 順位 | 出目 | 発生率 | 回収率 | イン巧者6名 | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 発生率 | 回収率 | ||||||||||
| 1 | 123 | 8.0% | 93.8% | 7.1% | 116.5% | ||||||
| 2 | 124 | 5.8% | 74.3% | 2.2% | 18.4% | ||||||
| 3 | 134 | 5.4% | 83.7% | 6.0% | 180.1% | ||||||
| 4 | 132 | 5.3% | 89.1% | 11.0% | 185.3% | ||||||
| 5 | 125 | 4.3% | 74.9% | 8.1% | 100.3% | ||||||
最近1年のSG・GIで、1から最も多い出目は123の8.0%、回収率は93.8%だ。5位まで全部回収率100%を割っている。
ところが、イン巧者6名の出目トップは132の11.0%、回収率は185.3%もある。123の回収率も100%を超えるが、発生率は7.1%しかない。1-2を買う場合でも、発生率2.2%、回収率18.4%の124は“買ってはいけない”出目。4コースが一瞬待ってから2番差しよりも、スピードで攻める3、5コースが残る。
ちなみに、124が足を引っ張っている1-2-流しの回収率は76%しかないが、1-3-流しでも回収率は136.3%あり、1-3なら3着は絞らなくても大丈夫だ。
(2019年7月〜2020年6月/1コース10走以上)





