ベテランの“新人”7名。

舟券の即戦力! ベテランの“新人”7名。

出場年齢が満48歳以上から45歳以上まで引き下げられた前回大会は、マスターズ新人28名、うち9名がSG覇者だった。新人の1人・渡邉英児が優勝を飾ったが、SG覇者9名は思いのほか苦戦。うねり攻略が最重要課題となる福岡水面だったことがその要因か。

SG4冠を誇る今大会イチの注目新人・濱野谷もマスターズでの可能性は未知数だ。ただ、昨年にGI2優勝の復活イヤーを迎えたことがプラスとなることは間違いない。

■全国最近2節成績
19年 2月  津 GI・周年
1 1 3 2 3 5 2 5
19年 2月 平和島 GI・地区選
1 5 6 6 1 2 3 4 1

「海水レース場育ちなのに、淡水場のほうが成績は良い」と、気になるコメントを聞いた。通算優勝56回のうち、最も優勝が多いレース場が多摩川の7回で、次に宮島の6回、芦屋の5回。出走機会を考えると多摩川、芦屋と比べて宮島の6回は少しもの足りなさを感じる。

ただ、その6回のうち3回が男女混合戦という実績は見逃せない。スタートも安定して踏み込める地元水面では、軽量プラス捲り主体の戦法が生きるということだ。

■全国最近2節成績
19年 2月 下 関 GI・地区選
3 6 2 6 5 6 4 3 2
19年 2月 宮 島 W優勝戦
3 3 2 6 6 3 1 3 5 1 4

最近3年で4回のGI優出がある。その優出したシリーズ全てで、予選で捲り一撃を決めている。平均STは決して早くないが、それでも主な戦法は捲り、しかも強襲だ。

武田の勝ち方はとにかく強烈なインパクトを残す。もちろん機力の後押しがあってこその捲り一撃だが、“行くときは行く”とハッキリしている男気、武闘派レーサーなのだから、穴での狙いどきも絞りやすい。機力が整ったときのダッシュ戦は要警戒だ。

■全国最近2節成績
19年 2月 芦 屋 一般競走
1 3 3 2 2 4 2 3 2 2
19年 2月 住之江 GI・地区選
3 4 5 5 6 6 5 2 5

ここ数年は記念での活躍が減ったが、過去にSGで7度の優出歴があり、GIタイトルを4回手にしてきた実績は忘れてはならない。記念戦線を突っ走っていた頃の鳥飼はとにかく鋭く攻めていた。GI初制覇の02年平和島周年も、優勝戦2号艇ながら4カドを選択し、捲り一気で決着をつけた。

最近の平均STは0.18とややセーブ気味だが、昨年1年間で捲り勝ちが14本ある点は見逃せない。“攻める鳥飼”復活の走りに期待する。

■全国最近2節成績
19年 2月 多摩川 一般競走
4 3 1 1 4 2 2 2 4 5 2
19年 2月 芦 屋 GI・地区選
3 2 2 1 1 5 2 3

これまでのSG出場10回中、クラシックが4回、ダービーが4回と、一般戦で固め撃ちしてきた印象が拭えない。ただ、GIで通算10回の優出歴もある。10回のGI優出のうち準優で6コースだったのが6回、5コースは1回あり、結果は全て2着だった。最近1年の5、6コースも3連率70%をマークしている。

上平を狙うツボがハッキリした。ダッシュ戦の2、3着だ。スピード&柔軟戦はベテランとなっても健在だ。

■全国最近2節成績
19年 2月 下 関 GI・地区選
3 3 1 3 2 6 失(帰郷)
19年 2月 平和島 タイトル
1 1 3 3 3 2 1 1 4 1 3

GIで目立つ戦績がほとんどない。今回も実に10年ぶりのGI参戦となる。自身も「大きい舞台で目立つことは好きではない」とも話していた。その職人的なスタンスが魅力だ。

地道にしっかり仕事をこなしてきた。堅実なレーススタイルは10年間変わらない。むしろ最近1年の3連率は70%と、10年前よりも手堅い走りに磨きが掛かっている。“これぞマスターズ世代”というレースが期待できる。

■全国最近2節成績
19年 2月 尼 崎 一般競走
1 3 1 3 1 2 5 3 1 4 2 3
19年 2月 蒲 郡 一般競走
3 5 2 2 2 3 失 欠(帰郷)

SG・GI優勝4回の実績があるが、その優勝戦の決まり手は捲り差しが3回に、抜きが1回。優勝戦1枠での王道Vが一度もない。11年蒲郡オーシャンCも3コースからミラクルターンで優勝を勝ち獲った。

さばき屋の印象もあるが、意外と強気のレースもする。ある選手が「佐々木はスリットで少しでも先行すると握って攻める」と話していたのは、ほんの数年前だ。ミラクルか、速攻一撃か、佐々木の走りに注目したい。

■全国最近2節成績
19年 2月 徳 山 一般競走
5 5 5 1 4 1 1 1 2 6
19年 2月 浜名湖 GI・地区選
4 6 4 1 5 4 2 3 2

― 昨年から支部長になられました。

「レースに関しては、プラスにもマイナスにも働いていないと思います(笑)。支部長としてどのような仕事をすれば良いのか手探りだけど、支部員が良い環境でレースをできるように整えていきたいと思っています。

ただ、もう少し支部員には前向きになって欲しいというか…。『ノリが悪いな』って思うこともあります(苦笑)。徐々にみんなの意識を変えて行きたいですね」

― 今回出場する地元広島勢の印象は?

「それ、僕が言うんですか? 先輩がほとんどなのに(苦笑)。

皆、個性の塊ですよね。西島義則さんは全てにおいて天才的なモノを持っていて、気持ちで走る方です。その気持ちが衰えないのは凄いことですよ。島川光男さんには、レースに対する姿勢を勉強させてもらいました。前本泰和はエンジン出しに対する感性が天才です。その部分では、上平真二もプロペラ調整がしっかりしています。

海野ゆかりはレースセンスがピカイチ。もう少しエンジンが出せれば、もっと稼げるのにって思います。レースセンスだけで上り詰めた印象です。もちろん全部、僕のイメージですけどね」

― ご自身を分析すると?

「何も取り柄がないけど、強いて言えばスタートかな。他の人よりはある程度、ダッシュをつけて良いスタートが行けるかな。ただ、周りもだんだんスタートが早くなってきています。ダッシュの乗りは抜きにして、数字だけなら早いスタートを行けるのが、今のエンジンです。それが大きいですね。

僕はエンジン出しの感性がないんです。自分のスタートを生かすなら伸び足をつけないといけないけど、そこが来ない。だからこそ、試運転は誰よりも多くしています。他の人と一緒では追いつけないですから。僕にできることは、努力することだけです」

― さあ、地元のマスターズCです。

「今まではマスターズCに気持ちが向いていませんでしたが、最近は周りの選手を見ていて『自分も頑張らなきゃ』って。地元開催だからとかは関係なく、気持ちを入れて臨もうと思っています」

いちかわ てつや
1968年(昭和43年)10月1日生まれ。広島支部・67期。
1990年11月、宮島でデビュー。96年1月、下関・新鋭王座決定戦でGI初優勝。97年6月、尼崎・グラチャンでSG初優勝。2000年、平和島でグランプリ初制覇、翌年のメモリアルで史上5人目のSG完全優勝を達成した。スタート巧者として知られ、「1/100秒の支配者」「レッドアロー」の異名を持つ。