the INTERVIEW
全国の強者を迎え撃つ若き
グランプリ覇者。
地元児島の水面を、
異次元ターンで駆け抜けろ!
かやはら ゆうき
1987年(昭和62年)7月11日生まれ。岡山支部・99期。
2006年11月、児島でデビュー。09年12月、宮島・タイトルで初優勝、12年9月、徳山・新鋭王座決定戦でGI初優勝。SGは12年5月の浜名湖・オールスターで初出場、13年12月の住之江・グランプリシリーズでSG初優出、14年12月の平和島・グランプリで大外から差し切り、SG初優勝を飾った。やまと卒業時に「旋回力は一番」と高い評価を受けたターンは、その後も進化を続けている。
1987年(昭和62年)7月11日生まれ。岡山支部・99期。
2006年11月、児島でデビュー。09年12月、宮島・タイトルで初優勝、12年9月、徳山・新鋭王座決定戦でGI初優勝。SGは12年5月の浜名湖・オールスターで初出場、13年12月の住之江・グランプリシリーズでSG初優出、14年12月の平和島・グランプリで大外から差し切り、SG初優勝を飾った。やまと卒業時に「旋回力は一番」と高い評価を受けたターンは、その後も進化を続けている。
2014年グランプリ優勝の衝撃から2年。昨年11月の若松周年、今年2月の中国地区選を王道パターンで優勝するなど、"ニュージェネ"世代の旗手としてボート界の世代交代を引っ張っている茅原悠紀。その原動力は、飽くなきターンへの探求心と、勝ち方にもこだわる強い気持ちだ。
今年のSG第一弾、クラシックの舞台は地元・児島。参加選手の誰よりも「優勝」の二文字を望んでいる。さあ、異次元ターンでボート界の未来を切り拓け!
(インタビュー&構成/『マンスリーBOAT RACE』武内達也)
茅原 悠紀 選手 データ室
(2017年2月24日現在)
(2017年2月24日現在)
| ◆通算成績 | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 出走回数 | 優出 | 優勝 | 2連率 | 3連率 | |
| 通 算 | 2,402回 | 97回 | 33回 | 49.6% | 66.3% |
| S G | 224回 | 7回 | 1回 | 38.8% | 57.1% |
| G I | 459回 | 11回 | 4回 | 43.8% | 60.8% |
| ◆全国成績(最近3節) | ||||
|---|---|---|---|---|
| 17年 | 2月 | 蒲 郡 | 一般競走 | 1 1 3 5 5 1 1 2 |
| 17年 | 2月 | 徳 山 | GI・地区選 | 1 2 1 1 2 3 1 1 |
| 17年 | 1月 | 戸 田 | GI・周年 | 4 1 2 5 5 2 3 5 1 |
| ◆児島成績(最近2節) | |||
|---|---|---|---|
| 17年 | 1月 | タイトル | 1 1 3 3 3 1 1 1 1 1 |
| 16年 | 8月 | タイトル | 1 2 1 3 3 4 1 3 4 1 5 |
ボートだけ考えられた 幸せなやまとの1年間
―ボートレーサーを目指したのは?
茅原 父親の影響です。レース場によく連れて行ってくれました。僕はレース場にあったTVゲームで遊べるのが嬉しくて行っていただけなんですけど(笑)。
選手になりたいと思ったのは中学生のときです。これまでもモーターの音はずっと聞いていたし、レースもチラッとは見ていたと思うけど、しっかりとレースを観たのは初めて。「かっこ良いな!」って、一気に興味が沸いてきました。
―アマチュアボート経験者だそうですね。
茅原 選手になるのに何が必要かを考えたとき、思いついたのがアマチュアボートでした。父親や父の知り合いからアマチュアボートの存在を聞いていたので、自転車で30分くらいかけて練習している場所へ行き、直談判です。とにかくボートに触れてみたかったし、ボート関連の勉強がしたかった。
今思うと、選手になる前にアマチュアボートをやって良かったです。アマチュアの方たちは危険を伴うのに保険も利かない。大人の事情でレースするのが難しかったりする。それに対して、僕たちプロは本当に恵まれていると感じます。
アマチュアの方は良い人ばかりだったし、そこで経験したことは、技術うんぬんよりも精神面で、僕の大きな支えとなっています。
―やまと学校入学は99期です。
茅原 5回目の受験で合格することができました。落ちた4回は「受かるだろう。楽勝だろう」って適当に受けていたというか、ナメてました。それじゃあ、一次試験も通らないですよね。本当に頭が弱かった・・・。いや、弱いんですよ(笑)。
4回目の不合格で「本当にヤバイ!」と、バイト代で塾に通うことにしました。周りは自分の楽しみのためにお金を使っていて、それは羨ましかったですし、塾代にするのを本当は「もったいないな・・・」って思っていました(笑)。ただ、バイト代で勉強すれば本気になるじゃないですか。そこまで自分を追い込んだおかげで、5回目で合格できました。
―厳しい訓練生活にも耐えて・・・。
茅原 苦しいとか辛いというよりも、幸せでしたね。だって、ボートのこと"しか"考えなくて良いんですよ! やまとに受かるまでは、通っていた高校の勉強に加えて、一次試験用の中学生の勉強もしていたので大変でしたから。意外に難しいんですよ、中学生の勉強(笑)。
やまと学校の1年は、濃厚な1年でした。ただ、卒業記念に来てくれた両親に1回もターンを見せられなかったことが申し訳なかったです。準優の1マークでハンドルを切った瞬間に転覆、妨害してしまいました。本当に1回のターンも見せられなかったです(苦笑)。
身近な目標を設定して 着実にクリアしていく
―デビュー節で水神祭を飾りました。
茅原 6走目で初1着を獲ることができました。水神祭はできると思っていたし、同期の坂元浩仁がデビュー1走目で1着だったこともあって、遅くなることはないかなっと思っていました。デビュー当時は、変な自信があったんですよね。2期目にはA2級に上がることができました。
けど、そこからが長かったです。勝率6.00の壁は高かったですね。
茅原 4期目にB1級に落ちそうになりました。B1級に落ちたら外からのレースを覚え直そうと思っていましたが、A2級に踏み止まれたので、どうやったらA1級に上がれるのかを真剣に考えました。
漠然と勝率6.00を獲るのって難しいんですよ。だから1日の目標を勝率7.00(1走7点、2走なら14点)に設定しました。今日は2走で12点しか獲れなかったら"借金2"だな・・・という風に。そうやって1日ずつ計算して走っていたら、軽く勝率6.00を超えました(笑)。
―SGへの意識が出てきたのは?
茅原 タツさん(山口達也)の影響です。先輩だけど、A2級になったのも、A1級に上がったのも同時期でしたから。初優勝はタツさんの方が先です。タツさんが目標になっていたし、負けたくなかった。
そんな身近な先輩がダービー出場を決めたとき、「自分にもSGを目指せるんだ!」って思いました。それからはA1級をキープというよりも、SGに出たいという思いの方が強くなりましたね。
―グランプリでSG初制覇です。
2014年の平和島グランプリでSG初優勝
茅原 グランプリでSGを獲れたときは、めちゃくちゃ嬉しかったですね。1マーク回ったときは「やっちまった」とか思いましたけど。一番やばかったのは、ゴールしてピットに帰ったときです。先輩が喜んでくれているのを見たときが一番やばかった。嬉しいのを通り越して、ワケがわからなくなっていました。それだけ特別な感情だったのかな。
優勝後に買ったランボルギーニですか? 20代の目標だったので、去年の7月に売っちゃいました。次にSG優勝したら家が欲しいですね。30代は大事な人たちのために使おうと決めていましたから。40代は、またランボルギーニを買おうかなって思っています(笑)。
強さのみが記憶に残る 王道レースで優勝が理想
―茅原選手にとって理想の勝ち方とは。
茅原 デビューしてからGIで4回優勝していますが、なかでも若松周年の優勝が一番嬉しかったですね。予選トップ通過から準優1号艇で1着、優勝戦も1号艇で優勝するって王道レースは、一番強いと思うし、かっこ良いですよね。
津周年みたいな大逆転が茅原らしいって言われれば、それも良いけど、個人的にはやっぱり王道レースで優勝したいと思っています。だって「ただ、ただ、強い」ってイメージが残るじゃないですか!
―個々のレースではどうでしょう。
茅原 パッと思い出すのは、三国オーシャンカップ最終日の選抜戦です(2015年7月20日・第11レース)。1号艇の今垣光太郎さんを2コースから差して勝ったんですが、このときのターンはキテました。ターン入口の感じが良くて、すべてがスムーズに繋がったというか、思いどおりのターンができて、理想の旋回でした。
ターンに関しては、旋回の入口から出口まで意識してやっています。すべてをパーフェクトに、っていうより無駄をなくしたいですね。スピードが落ちないようにとか、ターンの抜けを良くしたいとか・・・。みんなそうだと思いますけど、選手でいる限りずっと探求していくものですね。
グランプリのつもりで 児島クラシックを走る
―クラシックの舞台は地元・児島です。
茅原 地元のアドバンテージですか? プロペラ調整の面ではそんなに差はないと思いますけど、走り慣れた強みはあると思います。干満の差でハンドルの切り方が違うし、そのあたりの強みは生かしていきたいです。
普段の児島はお客さんが少なくて、レース場がだだっ広く見えるのが嫌いなんですよ。だから、12年の児島チャレンジカップで大勢のお客さんの前で走れたのは嬉しかった。今回もあの光景の中でレースがしたいですね。
―地元SGへの意気込みをお願いします。
茅原 今回、岡山支部は2人です。先輩が何人もいた今までとは違うと思うけど、新しい環境に不安はないです。新しいことが好きなので、楽しみの方が大きいですね。モーターがどうこうより、気持ちです。自分が100%頑張れるかどうかだけです。地元でSG制覇ができるに越したことはないし、できたらかっこ良いですもんね!
ここがグランプリのつもりで、クラシックに臨みます。