the INTERVIEW
「地元・児島のマスターズ。
師匠・黒明さんの目の前で
優勝して、喜んで欲しいですね」
最強のプロペラ集団と呼ばれた「イーグル会」は、黒い弾丸・黒明良光が立ち上げた。黒明氏が引退した後、新たなリーダーとして引き継いだのが小畑実成である。ボートレース王国・岡山を復活させようと、それこそ献身的に若手の育成に力を注いだ。自らも若手の範となるために妥協のないコース取り、レース運びに徹してきた。その後ろ姿を見て、多くの岡山の若手が育った。2014年グランプリ覇者の茅原悠紀もその一人である。
イーグル会はプロペラ制度の変更とともに解散したが、まだまだ小畑のやるべき仕事は残されている。若手に希望を与えること、それにはタイトル奪取しかない。
(インタビュー&構成/『マンスリーBOAT RACE』武内達也)
--グランプリシリーズがGIからSGに昇格した97年、第12回大会でSG初優勝されています。思い出のレースと言えば、この優勝戦ですか?
小畑 「確かにグランプリシリーズ優勝戦は思い出に残っていますが、あのレースは優勝を全く意識していなかったんです。モーターが優勝できるほど出ているとは思いませんでしたし、1号艇の中道善博さん(の優勝)で鉄板みたいな雰囲気でした。
当時はアウトからスタート勝負のレースをしていたので、自分のレースをした結果が優勝という形になったんだと思います。だから嬉しいことは嬉しかったんですが、今ひとつピンとこなかったですね(笑)。
それよりも児島の記念、確かダイヤモンドカップ(94年)だったと思いますが・・・優勝戦1号艇で6コースからフライングをしたことが一番心に残っています。あのときはモーターが凄く出ていました。今なら1コースを主張するという選択もあるけれど、当時はバリバリにインを獲りにくる選手がたくさんいましたからね。知らないうちに6コースになってしまった感じがありました。6コースからでも勝てる足ではありましたけど、今思えばあのコース選択は失敗だったな、と思います。結局、未だにGIタイトルを獲れていないですし、あの優勝戦はしっかりとモノにしておかなければならないレースでした」
住之江
SG第12回グランプリシリーズ 優勝戦
(1997年12月23日・第10レース)
| 着順 | 枠番 | 選手名 | 支部 | 進入 | ST | タイム |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 4 | 小畑 実成 | (岡山) | 5 | 06 | 1.46.6 |
| 2 | 2 | 川崎 智幸 | (岡山) | 2 | 08 | 1.47.4 |
| 3 | 6 | 池上 裕次 | (埼玉) | 3 | 08 | 1.48.0 |
| 4 | 1 | 中道 善博 | (徳島) | 1 | 04 | |
| 5 | 5 | 黒明 良光 | (岡山) | 6 | 21 | |
| 6 | 3 | 濱野谷憲吾 | (東京) | 4 | 08 |
▲決まり手=抜き
児島
GIダイヤモンドカップ 優勝戦
(1994年2月2日・第12レース)
| 着順 | 枠番 | 選手名 | 支部 | 進入 | ST |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 3 | 黒明 良光 | (岡山) | 1 | 01 |
| 2 | 2 | 淺香 登 | (三重) | 2 | 08 |
| 3 | 4 | 西田 靖 | (東京) | 5 | 10 |
| 4 | 5 | 林 貢 | (岡山) | 4 | 05 |
| 5 | 6 | 栗原孝一郎 | (埼玉) | 3 | 04 |
| F | 1 | 小畑 実成 | (岡山) | 6 |
▲決まり手=2周1Mツケマイ
--児島・マスターズは出力低減モーターでのレースですね。
小畑 「児島は1月からヤマト331型(出力低減モーター)を使用しています。マスターズではモーター抽選が大きな鍵になると思います。2月に中国地区選を走ったときは、モーター性能の差をすごく感じました。良い部類のモーターを引ければ、シリーズを有利に運べるのは間違いありません。
児島のイメージと言えば、モーターの回転の上がりが鈍いことでしょう。その分、スタートも難しくなってくるし、スタートの思い切りの良い選手がきっちり決めてきます。瀬戸内のレース場なので、干満の影響もあります。マスターズは終盤2日間が大潮で、優勝戦は干潮時間帯です」
--地元・児島のマスターズへ向けての抱負をお願いします。
小畑 「児島は地元なので、優勝したい気持ちは強いです。地元で開催される、最初で最後のマスターズ出場だと思って行きます。今年の流れはあまり良いとは言えませんが、2月の芦屋・W優勝戦で優勝できましたし、せっかくこういった舞台を用意していただいたので結果にこだわりたいですね。
もちろん、岡山支部の選手が頑張っていることも刺激になっています。昨年は川崎智幸君が児島周年を獲ったし、吉田拡郎と茅原悠紀がSGを獲りました。山本寛久もGIで優勝しましたし、自分もまだまだ頑張らないといけないと思います。
それと、師匠の黒明良光さんに良いところを見せたいです。当日も児島の実況席で解説されていると思います。最近はあまり良いレースをお見せできていないので、マスターズでGI初優勝して、黒明さんに喜んで欲しいですね」
(2015年3月8日現在)
| ◆通算成績 | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 出走回数 | 優出 | 優勝 | 2連率 | 3連率 | |
| 通算 | 7,376回 | 265回 | 35回 | 46.5% | 64.1% |
| SG | 224回 | 5回 | 1回 | 34.8% | 47.3% |
| GI | 1,580回 | 13回 | 0回 | 32.6% | 49.4% |
| ◆全国成績(最近3節) | ||||
|---|---|---|---|---|
| 15年 | 3月 | 福岡 | 一般競走 | 4 1 1 5 F 6 5 |
| 15年 | 2月 | 下関 | タイトル | 5 4 2 2 3 6 5 5 1 3 |
| 15年 | 2月 | 児島 | GI・地区選 | 6 6 6 2 4 4 2 3 2 |
| ◆児島成績(最近2節) | |||
|---|---|---|---|
| 15年 | 2月 | GI・地区選 | 6 6 6 2 4 4 2 3 2 |
| 15年 | 1月 | タイトル | 3 4 2 2 2 3 6 1 6 2 6 |
GIマスターズチャンピオン 歴代優勝者
| 回 | 開催年 | 開催場 | 優勝者 |
|---|---|---|---|
| 第1回 | 2000年 | 住之江 | 高山 秀則 |
| 第2回 | 2001年 | 住之江 | 野中 和夫 |
| 第3回 | 2002年 | 住之江 | 高山 秀則 |
| 第4回 | 2003年 | 尼崎 | 新井 敏司 |
| 第5回 | 2004年 | 住之江 | 大森 健二 |
| 第6回 | 2005年 | 戸田 | 水野 要 |
| 第7回 | 2006年 | 尼崎 | 万谷 章 |
| 第8回 | 2007年 | 大村 | 大嶋 一也 |
| 回 | 開催年 | 開催場 | 優勝者 |
|---|---|---|---|
| 第9回 | 2008年 | 宮島 | 田中 伸二 |
| 第10回 | 2009年 | 鳴門 | 山崎 毅 |
| 第11回 | 2010年 | 徳山 | 西島 義則 |
| 第12回 | 2011年 | 常滑 | 今村 豊 |
| 第13回 | 2012年 | 下関 | 井川 正人 |
| 第14回 | 2013年 | びわこ | 江口 晃生 |
| 第15回 | 2014年 | 唐津 | 金子 良昭 |
8戦完全優勝で実力の違いを見せつけた初代名人・高山秀則
万谷章は第7回大会でGI初優勝、GI最年長優勝記録を塗り替えた
江口、西島ら主力陣がFで脱落するなか、第15回大会を制した金子良昭
--今年からマスターズ世代になられました。
小畑 「選手になって約30年、決してパーフェクトではないけれども、積み重ねてきたことが実を結んでいると思います。若いときに怠けた部分は今になって跳ね返ってきているし、逆に、しっかりやってきた部分については、ちゃんと答えが返ってきています。多くのタイトルを獲ってきた人やトップクラスで活躍し続ける人は、そういう心構えがあるからこそなんでしょうね。若い頃からこの考え方ができていれば、また違った選手人生になっていたのかな、とも思います。ないものねだりですけどね(笑)。
今の若い子のターンは、僕たちの時代とは違いますね。全部を吸収すると言えば嘘になるけれど、ちょっとでも吸収できれば、まだ若い子たちとも勝負できるかなと思います。常にA1級でいたいという気持ちはありますから、これからも研究や練習を積み重ねていこうと思っています」
--若手の育成に力を入れておられる印象が強いですが・・・。
小畑 「僕がデビュー3年目くらいから成績を残せるようになったのは、数多くレースを走って、技術や感覚的な部分が向上したからだと思います。その後はSGにもたくさん出場しましたし、グランプリシリーズ(賞金王シリーズ)で優勝もできました。
だから、若い子たちには『フライングを切らないで、レースの数をこなしなさい。レースをすることが強くなる一番の近道だから』と言っています。やはり、毎日の積み重ねは大事です。今の自分に満足することなく、常に新しいものを取り入れていかないと。勝率が良いからといって、次も良い成績が獲れるとは限りませんしね」