元ボートレーサー土屋幸宏が分析

元ボートレーサー土屋幸宏が分析

3人のスピード合戦は峰に軍配

SGオーシャンカップを開催する鳴門は「コース不問の自在水面」を売りにしている。現在、コース不問で活躍できるスピード派選手と言えば、毒島誠、峰竜太、桐生順平の3人だろう。各レース場のヤマト331型最速タイムの中に、3人とも名前が入っている。SG・GIで一緒になることの多い3人なら、直接対決もあるはず。その時の舟券の取捨が、舟券の収支に大いに関係してくる。

ただ、この3人が同じレースで走る機会は意外と少ない。最初の対戦は12年5月桐生周年の予選で、1着・峰、2着・桐生、3着・毒島とワン・ツー・スリーを決めている。

15年以降になると、3人揃って同じレースで走るのはドリーム戦や準優勝戦、優勝戦、グランプリしかない。20年4月までに14回対戦しているが、3人で上位着を独占するケースはなかった。

興味深いのは、3人が共倒れするレースも1回しかなく、残る13レースでは、誰かしら1着を獲っている。1着が一番多いのは峰の6回で、桐生が3回、毒島が1回。ワン・ツーのケースは毒島-桐生、峰-毒島、峰-桐生、桐生-峰がそれぞれ1回で、毒島-峰と、桐生-毒島のケースはなし。3人揃ったレースでは、峰が一歩リードしていた。

では、個別の対戦レースではどういった力関係になるのだろうか。19年5月~20年4月までの対戦成績を調べてみた。

パターン1 毒島vs桐生 枠番が小さい数字のほうが先着する

対戦は1年で26回と多く、毒島10勝に対して桐生が16勝と、桐生の方が分が良い。ともに着外落ちしたレースは1回もなく、どちらかが1着になったレースが18回もある。注目すべきは、ワン・ツー決着が5回もある点だろう。平均配当も1,880円と悪くない。

さらにデータを調べると、毒島の1号艇が9回あり、1着になったのが8回ある。桐生の1号艇も9回あり1着が8回だ。ともに1号艇時の1着率は88.9%と高い。

また、毒島と桐生の対戦では“枠番が小さい数字のほうが先着する”傾向がある。枠番と着順が逆転したのは3回しかない。毒島と桐生が対戦するレースでは、1号艇をもらったほうが1着になり、1号艇以外なら枠番の小さいほうが2着、3着に絡む。

2人の対戦時の天敵は、峰だ。峰が1号艇にいると、2人とも1着が獲れない。白井英治が2着に入って、2人が3着以下になったレースが3回あった。

毒島と桐生は予選でも顔を合わせるケースが多い。天敵の情報はしっかりと頭に入れておきたい。

パターン2 毒島vs 1号艇を手にしたほうを1着軸で信頼

2人が対戦したレースは1年で7回しかない。ドリーム戦が4回、グランプリTRが1回、SG、GIの準優が1回ずつだ。優勝戦での対戦はなく、毒島1勝に対して峰が6勝と圧倒している。毒島が峰に勝ったのはグランプリTR2ndの1回だけで、毒島が1号艇、峰が2号艇のレースだった。

2人の対戦の特徴は、峰が1号艇のレースが5回もあり、いずれも峰が1着を獲っていることだ。ともに着外落ちしたレースは1回もない。

この2人の対戦でわかることは、“1号艇をもらえば1着軸として信頼できる”ことだろう。ワン・ツー決着は2回あるので、1号艇になったほうを1着にして、もう一方はモーターの仕上がりと展開次第になりそうだ。ワン・ツー決着時の配当は780円と4,800円で傾向は読めない。1号艇になったほうが人気を集めるので、相手が着外になっても高配当は望めない。峰→毒島に固執せずに柔軟に対応したい。

どちらも1着が獲れなかったのは1回だけ。毒島が2号艇、峰が4号艇で出走した昨年の多摩川グラチャン準優は、1号艇の柳沢一が1着で峰が3着、毒島は6着に終わった。天敵は1号艇の選手になりそうだ。

パターン3 vs桐生 舟券リスクが高い割に、配当面の魅力なし

1年で2人の対戦が16回ある。昨年のグランプリTR2ndでは3日間連続で対戦し、峰が 4 1 転覆。桐生は 2 3 2着と桐生のほうが好成績だった。

全体では峰が10勝、桐生は5勝。峰の1号艇時は7戦して1着6回、6着1回だ。6着のレースは下関企業杯のドリーム戦で、桐生が4コース差しで勝ち、32,580円の万舟が飛び出している。峰-桐生のワン・ツー決着は2回あるが、3連単は610円と1,050円と安く、配当面の魅力はない。

興味深いのは、桐生が1号艇の場合は 2 5着と勝てていないことだ。また、ともに1着が獲れなかったレースが7回、うち共倒れが2回ある。2人の対戦は舟券リスクが高い

ともに1着が獲れなかったレースを調べると、7戦中5回も1号艇に負けている。特定の選手ではない。天敵は1号艇と決めて良い。

ヤマト331型(出力低減) 24場最速タイム
レース場 登録番号 選手名 レースタイム
桐 生 4168 石野 貴之 1.45.5
戸 田 4573 佐藤  翼 1.46.0
江戸川 4409 坂元 浩仁 1.48.7
平和島 4238 毒島  誠 1.45.8
多摩川 4524 深谷 知博 1.45.0
浜名湖 4262 馬場 貴也 1.45.2
蒲 郡 4643 近江 翔吾 1.45.0
常 滑 4337 平本 真之 1.46.5
4227 安達 裕樹 1.46.0
三 国 3556 田中信一郎 1.45.0
びわこ 3996 秋山 直之 1.44.5
住之江 4444 桐生 順平 1.45.6
レース場 登録番号 選手名 レースタイム
尼 崎 3996 秋山 直之 1.45.4
鳴 門 3903 白石  健 1.44.5
丸 亀 4320 峰  竜太 1.45.9
児 島 4397 西村 拓也 1.45.0
宮 島 3780 魚谷 智之 1.45.9
徳 山 3996 秋山 直之 1.46.7
下 関 3779 原田 幸哉 1.45.8
若 松 4418 茅原 悠紀 1.46.1
芦 屋 4090 中村  尊 1.44.2
福 岡 4366 前沢 丈史 1.45.8
唐 津 3996 秋山 直之 1.45.4
大 村 4502 遠藤 エミ 1.45.6