グランプリを読み切るキーポイント3

『マンスリー BOAT RACE』データ室

「冬の住之江」
例年、冬の住之江は北からホーム追い風がよく吹く。雨上がりだと強さが増し、1Mは差し水面に変化する場合もある。とはいえ、基本的には緩やかな追い風で、イン有利は明らかだ。
昨年12月の開催データを調べると、1コース1着率は66.5%。全国平均よりもやや高めで、イン優勢の流れ。昨年12月は例年よりも気温が高い日が多かったが、スロー優位のレースは変わらなかった。今年の12月の近畿地方は、気温が昨年よりやや高めの予報が出ている。ナイターグランプリ(GP)となっても、イン有利の組み立てが定石か。

「グランプリのレース傾向」

昨年のGPトライアルを振り返ると、1~5日目までの合計10レースのうち、枠なりが9レースもあった。しかし、進入隊形が微妙に違う。3対3が6レースあったが、5対1が2レース、全艇スローも1レースあった。これが何を意味するのか。
近年のGPトライアルは、外枠勢がシビアに回り込もうとアクションを起こす。しかし、内枠勢も抵抗して枠なりのパターンが増えた。結果はトライアル1stが逃げ3本、同2ndも逃げ3本。ともにイン優勢で、1stの方が「1枠絶対」の流れが目立つ。舟券的には、モーター差の激しいトライアル2ndで好配当を狙う手か。

「温水パイプ装着後のモーター気配」
住之江は10月1日から温水パイプが装着された。モーター相場も多少の変化が起きた。2連率は低くても、動きが上向いたのは「50」「52」「23」「61」の4基。GPシリーズ戦回りになっても、決して侮れない。
特に、「52」は温水パイプを装着して最初に使われたルーキーシリーズで、今泉友吾が10走して9回も2連対し、予選トップ通過から優勝。今泉が「ほとんど何もしていません。乗り味が良いし、温水パイプが付いて良くなったと思います」と話していた。その後に乗った胡本悟志も、後半は全体に気配が上向いた。行き足が軽快になった「50」や、出足や回り足が目立った「23」「61」も期待が持てる。

賞金上位レーサーだからといって、「絶対」「年中」強いわけではない!
賞金獲得額が上位だからといって、「絶対」に強いわけではないし、「年中」強いわけでもない。例えば、2019年獲得賞金額2位でグランプリに出場する吉川元浩の場合、SG・GIに17節出場して優出は4回。一方、2018年の賞金王・峰は19節出場して優出10回。どちらが舟券に貢献してくれているかは歴然としている。
ファンにとっては、舟券に貢献してくれる選手こそが「強い選手」。だから買う、とはならなくても、獲得賞金額とは異なる「強さ」を知るデータも舟券推理には欠かせない。
賞金獲得額 順位 |
選手名 | 節数 | 準優出→優出→優勝 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 毒島 誠 | 21節 | 16回 | → | 6回 | → | 2回 | (SG2回・GI0回) |
2 | 吉川 元浩 | 17節 | 11回 | → | 4回 | → | 2回 | (SG2回・GI0回) |
3 | 石野 貴之 | 17節 | 10回 | → | 6回 | → | 2回 | (SG1回・GI1回) |
4 | 峰 竜太 | 19節 | 18回 | → | 10回 | → | 2回 | (SG0回・GI2回) |
5 | 桐生 順平 | 18節 | 14回 | → | 9回 | → | 3回 | (SG0回・GI3回) |
6 | 瓜生 正義 | 18節 | 12回 | → | 5回 | → | 2回 | (SG1回・GI1回) |
7 | 柳沢 一 | 16節 | 9回 | → | 2回 | → | 1回 | (SG1回・GI0回) |
8 | 井口 佳典 | 22節 | 16回 | → | 9回 | → | 1回 | (SG0回・GI1回) |
9 | 馬場 貴也 | 19節 | 10回 | → | 3回 | → | 0回 | (SG0回・GI0回) |
10 | 白井 英治 | 12節 | 11回 | → | 5回 | → | 1回 | (SG0回・GI1回) |
11 | 田村 隆信 | 16節 | 11回 | → | 6回 | → | 2回 | (SG0回・GI2回) |
12 | 徳増 秀樹 | 15節 | 11回 | → | 4回 | → | 0回 | (SG0回・GI0回) |
13 | 菊地 孝平 | 21節 | 13回 | → | 5回 | → | 1回 | (SG0回・GI1回) |
14 | 太田 和美 | 21節 | 11回 | → | 5回 | → | 1回 | (SG0回・GI1回) |
15 | 池田 浩二 | 16節 | 9回 | → | 3回 | → | 2回 | (SG0回・GI2回) |
16 | 今垣光太郎 | 17節 | 7回 | → | 5回 | → | 1回 | (SG0回・GI1回) |
17 | 平本 真之 | 15節 | 8回 | → | 6回 | → | 0回 | (SG0回・GI0回) |
18 | 茅原 悠紀 | 22節 | 11回 | → | 3回 | → | 0回 | (SG0回・GI0回) |
モーター2連率ベスト19(2019年3月・使用開始~11月4日)
順位 | モーター 番号 |
2連率 | 整備士の![]() |
||||
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優出 | 優勝 | 出足 | 伸び | 回り足 | 記者の![]() |
||
1 | 88 | 56.8% | 出足・行き足・伸びと三拍子揃ったモーター。ここ数年で最高クラス | ||||
5 | 0 | ◎ | ○ | ◎ | 季節、乗り手、温水パイプ装着を問わない。出足や回り足は力強い | ||
2 | 78 | 52.9% | 伸びが最大の魅力で、差せば捕まえるし、捲れば突き抜ける好機だ | ||||
5 | 1 | ◎ | ◎ | ○ | 7月のペラ交換からパワー上昇。9月徳増秀樹が「節一」宣言出た | ||
3 | 17 | 48.9% | 伸びがやや下降も出足が強力に。準優をほぼ外さず安定感はNo.1 | ||||
7 | 2 | ◎ | ◎ | ○ | もともと素性が良く、8月のプロペラ交換後に出足、行き足が良化 | ||
4 | 35 | 47.6% | 6月GIで湯川浩司がギヤケース交換し、最強の伸び型に激変した | ||||
5 | 2 | ○ | ◎ | ○ | 8月は井上一輝がオール大阪を優勝、秋にプロペラ交換も伸びOK | ||
5 | 85 | 45.3% | 夏場は出足型。最近は出足を落とさずに伸びが付き好成績をキープ | ||||
3 | 1 | ○ | ◎ | △ | 9月までは伸び型も、温水パイプが付いた10月以降は回り足が下降 | ||
6 | 82 | 44.7% | オレンジモーターだったが、9月GIで新品プロペラ交換後は中堅 | ||||
4 | 0 | ◎ | ○ | ○ | 9月にプロペラ交換も行き足は良。温水パイプ装着後はバランス型 | ||
7 | 74 | 42.3% | 特化した足はないが逆に欠点もない。誰が乗っても中堅上位キープ | ||||
3 | 1 | ◎ | ○ | ○ | 出足、行き足は安定。9月田村隆信は行き足が良く、GI戦で優出 | ||
8 | 39 | 41.4% | 9月GIの優勝モーター。次節はやや苦戦も出足を中心に中堅上位 | ||||
4 | 2 | ○ | △ | △ | 9月GI戦で石野貴之が優勝も、10月山田和佐が試運転転覆で下降 | ||
9 | 19 | 41.1% | 近況はパッとしないが、合えばエース級と対等のポテンシャル秘め | ||||
4 | 0 | ○ | ◎ | ○ | 秋口からは乗り手を問わず、伸び型に仕上がる。1st組では上位 | ||
10 | 13 | 40.3% | 乗り手に合わせた成績。温水パイプが付いて成績が良いのも好材料 | ||||
4 | 2 | ○ | ○ | ○ | A級乗ればレース足仕上がるが、温水パイプ装着後は目立たなくて | ||
11 | 34 | 40.0% | 乗り味が魅力。乗り手の半分以上がB級も、そこそこ成績を残して | ||||
3 | 1 | ○ | ○ | △ | 夏場はパワー上々も11月山谷央が転覆でプロペラ交換。足落ち心配 | ||
11 | 64 | 40.0% | 9月GIで原田幸哉がプロペラ調整。出足が良化し展開を突ける足 | ||||
2 | 0 | ○ | ◎ | ○ | 9月からは乗り手を問わず、伸びが軽快に仕上がる。実績問題なし | ||
13 | 63 | 39.4% | 6月の中間整備でキャリアボデー交換。仕上がるも良くて中堅上位 | ||||
0 | 0 | ○ | ○ | ○ | 4月に平高奈菜、9月に藤山雅弘が優勝。乗り味○も他は目立たず | ||
14 | 66 | 39.1% | オレンジモーターだったが、近況は乗り手に恵まれずやや下降気味 | ||||
2 | 1 | ○ | ○ | ○ | 夏場は伸び、回り足共に良かったが、秋に入って中堅レベルの足に | ||
15 | 86 | 38.9% | 出足よりで、ターン回りも問題なし。課題は伸びで整備が必要かも | ||||
3 | 1 | ○ | ○ | ○ | 良かったのは7月濱野谷憲吾ぐらい。温水パイプが付いても中堅で | ||
15 | 33 | 38.9% | 9月GIで住之江巧者の井口佳典がやや苦戦。回転合えば戦える足 | ||||
2 | 2 | ○ | ◎ | ○ | 9月岡田憲行と11月佐藤大佑が優勝。佐藤は節一の伸びに仕上げた | ||
17 | 55 | 38.2% | 出足が劣勢で伸びより。握って回る選手向きだが、調整の幅が狭い | ||||
4 | 0 | ○ | ○ | △ | 行き足の良いときはあったが、誰が乗っても回り足が良くならない | ||
18 | 11 | 37.6% | 出足よりでターン回りは問題なし。課題は伸びだが出足活かし上位 | ||||
3 | 0 | ○ | ○ | ◎ | 温水パイプが付いて、10月和田拓也、11月山本修一と共に動き良し | ||
19 | 59 | 35.9% | 9月GIで存在感。全体的にバランスが取れていて、伸びも良い方 | ||||
2 | 0 | ○ | ○ | △ | 春先は好パワーも夏場から目立たず。10月プロペラ交換でなお下降 | ||
19 | 60 | 35.9% | 回転の上がりがイマイチだが、整備次第では上位に入る可能性十分 | ||||
3 | 0 | ○ | ○ | △ | レース足が仕上がらない。11月は吉田健太郎が転覆して、動き下降 |
ボートレース住之江では2連率上位6基を「オレンジモーター」として、モータープレートの数字とボートのカウリングをオレンジ色にしています。
[SG第34回グランプリ・トライアル2nd(12/19(木)~)に、12/1(日)時点の2連率上位6基が出場します。]