超舟券術

リードする峰、石野に井口が火のごとく攻め込む。
シリーズは“初組”の萩原、下條と遠藤に注目だ!

下関チャレンジカップ(以下、CC)の2日目に井口佳典(三重)が捲り差しで勝ったとき、「これは、井口だな」と思った。しかし優勝したのは毒島誠(群馬)で、インから圧勝だった。ただ、この圧勝劇を演出したのは2コースの井口だった。山田康二を捲らせず、篠崎仁志(福岡)を差させず、SG初制覇を懸けた2人の若武者を絶妙のさばきで抑え込んだ。予選最後の走りでは同じインから逃げる毒島を2コースから差して追い詰めた井口だが、優勝戦は同じ2着でも内容は完敗だった。それは背後の選手が勝ちに出る、出ないの差だろう。

レースごとに意味合いが異なるのは、舟券ファンもつねに念頭に置く必要があるが、一つ一つのレースの意味合いがまるで違うという点では、このグランプリこそ“特別”なレースである。特に初日から死闘が始まるトライアル1st組はいきなり準優戦というイメージで、初日の外枠勢は1走目から勝負駆けとなる。田中信一郎(大阪)や篠崎仁に注目だが、CCでの汚名を返上したい中田竜太(埼玉)は攻めが慎重になるか。

3日目から登場のトライアル2nd組は当然、峰竜太(佐賀)と石野貴之(大阪)がリードするかたちになるが、ここでも筆者のイチオシは井口だ。CC優勝戦で見せた“動かざること山のごとし作戦”こそ、ここで燃えさかる火となるための…と思うのだが。

シリーズ戦の展望は誰と誰になるかわからないグランプリ敗退組を無視して進めるが、その敗退組やあと一歩でグランプリへ進めなかった組は、失意が大きいのか毎年苦戦している。今年のあと一歩組は辻栄蔵(広島)と新田雄史(三重)。昨年は今垣光太郎(福井)が復活Vを飾ったが、それ以前はしばらくSG初Vブームが続いていた。今年はおよそ半数がSG未戴冠だけに、またその流れに戻る可能性は十分。これも毎年の傾向でCC好走組は苦戦気味。山田康や秋山直之(群馬)より萩原秀人(福井)や下條雄太郎(長崎)を渋く推奨したい。また、昨年の復活劇再びなら田村隆信(徳島)だが、ここで池田浩二(愛知)とか今村豊(山口)があっても驚けない。あっと驚かせるなら、一昨年の住之江GIIIイースタンヤング優勝戦、1号艇で優勝を逃し唇を噛んだ遠藤エミ(滋賀)だ。


トライアル出場18選手を2ndと1stに分け、2017年の月別獲得賞金をグラフにした。グラフからは2ndより1stの選手の方がコンスタントに活躍してきたことがわかる。

2ndに乗っているのはSGでの一発勝負をモノにした選手たちだ。前半期で一気に稼いだ石野と桐生や、8月に爆発した寺田は夏場を過ぎてから失速している。

年間を通じて賞金上位にいたのは峰、白井、井口の3名だ。本当の意味で頂上決戦を戦うにふさわしい選手たちである。

(11月26日・チャレンジC終了日現在)

SG グランプリ[賞金王決定戦]歴代優勝者

開催年 開催場 優勝者
第1回 1986年 住之江 彦坂 郁雄
第2回 1987年 住之江 安岐 真人
第3回 1988年 住之江 野中 和夫
第4回 1989年 住之江 福永 達夫
第5回 1990年 住之江 高山 秀則
第6回 1991年 平和島 松田 雅文
第7回 1992年 住之江 野中 和夫
第8回 1993年 住之江 野中 和夫
第9回 1994年 住之江 中道 善博
第10回 1995年 住之江 植木 通彦
第11回 1996年 戸 田 植木 通彦
第12回 1997年 住之江 服部 幸男
第13回 1998年 住之江 太田 和美
第14回 1999年 住之江 松井  繁
第15回 2000年 平和島 市川 哲也
第16回 2001年 住之江 田中信一郎
第17回 2002年 住之江 植木 通彦
開催年 開催場 優勝者
第18回 2003年 住之江 田中信一郎
第19回 2004年 住之江 田中信一郎
第20回 2005年 住之江 辻  栄蔵
第21回 2006年 住之江 松井  繁
第22回 2007年 福 岡 吉川 元浩
第23回 2008年 住之江 井口 佳典
第24回 2009年 住之江 松井  繁
第25回 2010年 住之江 中島 孝平
第26回 2011年 住之江 池田 浩二
第27回 2012年 住之江 山崎 智也
第28回 2013年 住之江 池田 浩二
第29回 2014年 平和島 茅原 悠紀
第30回 2015年 住之江 山崎 智也
第31回 2016年 住之江 瓜生 正義
第32回大会住之江
優勝戦2017年12月24日(日)・第12レース

グランプリシリーズ歴代優勝者(第12回大会からSG)

開催年 開催場 優勝者
第1回 1986年 住之江 竹内 知樹
第2回 1987年 住之江 瀬尾 達也
第3回 1988年 住之江 瀬尾 達也
第4回 1989年 住之江 新開 文夫
第5回 1990年 住之江 長岡 茂一
第6回 1991年 平和島 岡本 義則
第7回 1992年 住之江 長岡 茂一
第8回 1993年 住之江 中道 善博
第9回 1994年 住之江 西島 義則
第10回 1995年 住之江 高山 秀則
第11回 1996年 戸 田 市川 哲也
第12回 1997年 住之江 小畑 実成
第13回 1998年 住之江 中道 善博
第14回 1999年 住之江 長岡 茂一
第15回 2000年 平和島 吉田 隆義
第16回 2001年 住之江 濱野谷憲吾
第17回 2002年 住之江 太田 和美
開催年 開催場 優勝者
第18回 2003年 住之江 市川 哲也
第19回 2004年 住之江 太田 和美
第20回 2005年 住之江 池田 浩二
第21回 2006年 住之江 赤岩 善生
第22回 2007年 福 岡 山崎 智也
第23回 2008年 住之江 田中信一郎
第24回 2009年 住之江 井口 佳典
第25回 2010年 住之江 山崎 智也
第26回 2011年 住之江 勝野 竜司
第27回 2012年 住之江 篠崎 元志
第28回 2013年 住之江 前本 泰和
第29回 2014年 平和島 平本 真之
第30回 2015年 住之江 長田 頼宗
第31回 2016年 住之江 今垣光太郎
第32回大会住之江
優勝戦2017年12月24日(日)・第11レース