超舟券術
誰も褒めてくれないので自分で言うが、先のチャレンジカップ展望では男女ともに優勝者を挙げることができた(ま、データどおりだったということで)。ついでに言うと私の記憶が正しければ、SG展望で2戦連続で優勝者を的中させた記憶は...ない。
ま、それはそれとして、もっと大事なことは昨年からこのグランプリが大きく様変わりしたことだ。「いよっ、真打!」とばかりに3日目から登場するのは賞金上位6名のみで、残り6名は2日間のいわゆる予備予選を勝ち抜いた選手たち。
で、これは昨年も指摘したが、有利不利でいえば、モーターの感触をいち早く実戦で体感できる予選勝ち抜き組のほうが有利ではないか、と。あとは「どのモーターがどれほど強力か」ということに尽きる。
昨年は真打組と勝ち抜き組が3名ずつ優勝戦に進むという互角の展開のなか、最後は勝ち抜き組の茅原悠紀(岡山)が大外から劇的な勝利をものにした。これまでグランプリでは「初出場者は苦戦する」といわれてきたが、茅原にとっては2日間の予備予選で緊張をほぐせたのが大きかったのではないか。今年のグランプリ初出場者は守田俊介(滋賀)のみで、しかも真打組での出場と条件は逆に厳しいかも。ならば、真打組では水面実績が抜群の石野貴之(大阪)、勝ち抜き組もやはり地元の松井繁(大阪)、太田和美(大阪)、田中信一郎(大阪)の誰か(もしくは全員)が本戦に勝ち進むだろうが、グランプリがその年のいわば集大成としての"頂上決戦"というなら、期待も込めて篠崎元志(福岡)と峰竜太(佐賀)による一騎打ち再び以上のものはない。
ルールからしてそうだが、何から何まで特異なグランプリに比べると、シリーズ戦はごく普通の6日間レースという側面を持つが、実際には圧倒的なパフォーマンスを見せた選手が制覇する戦いである。その最大の要因は、モーターのパワー差にある。成績上位の優秀なモーターはグランプリに持って行かれ、残りの成績下位モーターでの争いとなるのだが、昨年からグランプリに持って行かれるそのモーターが上位12機から18機に増え、ダメなモーターがより増えることになった。
モーターは生き物で、過去の数字が全てではない。季節が移り変わればその素性にも変化が起きる。これまで成績下位だったモーターのなかにも際立つ動きを見せ始めているモーターはある。そんなモーターを運よく引き当てた選手が、残りの数字どおり素性の良くないモーターに実力を封じ込められた選手たちを圧倒するのが、このシリーズ戦だ。
選手データからは、グランプリ出場を惜しくも逃した選手より、1年を通じてあまり良くなかった実力上位組が最後に意地を見せるレース、という傾向が浮かび上がる。そのデータからは吉田拡郎(岡山)、平本真之(愛知)、瓜生正義(福岡)らが脱落するわけだが、平本は昨年の覇者であり、瓜生はその優勝戦で1号艇だった。連覇は四半世紀以上ないが、連続優出は意外に多いことから、瓜生には要注意か。
1年を通じて良くなかった組では、昨年も優出している濱野谷憲吾(東京)がビンゴなのだが、前年からの「なんだか感」がより大きいのは菊地孝平(静岡)、白井英治(山口)と、井口佳典(三重)、新田雄史(三重)のコンビだ。シリーズ戦は地元優勝が極めて少ないが、井口が突っ走るなら同期の湯川浩司(大阪)が黙ってはいない。
