直前インタビュー


ボートレース三国の「GI第28回レディースチャンピオン(女子王座決定戦)」に、地元・福井支部からただ一人参戦するのが今井美亜選手です。私は三国の実況アナウンサーとして、デビューのときから彼女のレースに注目していますが、その成長ぶりはここ1、2年で急ピッチの感があります。まだA2級の身ではありますが、地元で「女王」戴冠を目指して果敢に戦い抜き、全国のファンにアピールしてほしいと思いながら、インタビューしました。
(インタビュー&構成/ボートレース実況アナウンサー・小林習之)
-- やまと学校を卒業して、デビューは2010年の5月20日、地元の三国でした。
今井「師匠の古場(輝義)さんと秋元(誠)さんに、『とにかく、デビュー戦はフライングするな』と言われました。初出走のときは、とても緊張してスタートが遅れてしまいました(0.29)。そのことが悔しくて、『スタートを決めないといけない』と焦り、3走目にフライングしてしまって・・・。
そんなふがいない成績なのに、『デビューできてよかったね』と周囲から多くの温かい声をもらって、とてもありがたかったです」
-- 水神祭はデビューしてから7ヵ月目、やはり地元・三国でした。
今井「その前の鳴門のタイトル戦で、先頭を走っていたのに抜かれて2着のレースがありました。その頃、同期がどんどん水神祭を飾っていたので、私もこのシリーズ(2010年12月・三国競艇大賞)でなんとか水神祭をしたいという気持ちがありました。混合戦で水神祭をしたいと思っていたので、余計に嬉しかったですね」
-- デビュー3期目でB1級に昇格し、2012年6月の大村の夢の初優勝W決定戦・マンスリー BOAT RACE杯で初優出。覚えていますか?
今井「覚えています。初優出・初優勝というのは1回しかチャンスがないので、狙っていました。狙い過ぎて力が入り、思ったスタートが行けずに6着でした(苦笑)」
-- そして、今年2月の尼崎GIII女子リーグ戦で初優勝を飾りました。予選道中は、気合が入ったでしょう?
今井「それが、それほどでもなかったんです。想像以上にモーターが仕上がっていたこともあって、『あれ? あれ?』という間に準優に進み、流れも良く優出、優勝できたという6日間でした。今年の目標がレディースチャンピオン出場と初優勝だったので、嬉しかったですね。お祝いの電話やメールもたくさんいただいて。特に、師匠の古場さんの『おめでとう。これからも頑張って』というメールは、短いですけど、心に響きました」
-- 今井選手が描く理想のレーススタイルとは、どのようなものですか?
今井「私は常に、どのコースからでも、自分でレースを作って攻めることを心がけています。理想は、大外から捲り差しを決めたら、『あれは美亜ちゃんじゃない!?』って、誰からも言われるようになりたいです」
-- お手本にしている選手とか、ライバルと意識している選手はいますか?
今井「お手本ということでは、金田(幸子)さんや三浦(永理)さんのような、上手なターンができるようになりたいです。ライバルですか・・・。『自分は自分』という感覚なので、誰かにライバル意識を持つということはありませんねえ」
-- 現在の課題は?
今井「自分はレースが楽しくないとダメなタイプだと思っているので、乗り心地(操縦性)を良くするセッティングにしようとするのですが、なかなかうまくいきません。とにかく、ボートに乗り続けて、少しでもレーサーとしての総合的な感性を身につけることに集中しています。今期は初のA1級、その先はA1級の維持という目標を実現したいです」
-- いよいよ、地元・三国のレディースチャンピオンの開催です。地元からただ一人の参戦でもあり、気合が入りますね。
今井「最初に高校時代カヌー部だったというお話をしましたが、今でもずっと尊敬している選手に、アテネ・北京・ロンドンオリンピックと3大会出場している北本忍さんという方がいらっしゃいます。北本さんは、本当にすばらしい方で、私の目標です。北本さんがカヌー界の一番だから、私はボートレースの世界で一番になりたいです。
私にとって、ボートレースの世界で女子の一番になるということは、レディースチャンピオンで優勝することなんです。やまと学校のときから、そう思ってきました。地元・三国での開催が決まってからはなおさら、それだけを考えて緊張感を持ち続けてきました。でも、気合が入り過ぎないように、5月の地元GIIIオールレディースで優勝戦に乗ったときのように、リラックスして戦いたいです」
-- 今大会の目標は?
今井「まず一番に水神祭を飾ること、次に準優に乗ることです。勝って、準優入りしないと、優勝戦に出場することができませんから。一つ一つですね。自分の持ち味である、攻めるレースを続けて、一生懸命走りたいと思います」
(2014年7月6日現在)

◆通算成績 | |||||
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出走回数 | 優出 | 優勝 | 2連率 | 3連率 | |
通算成績 | 669回 | 4回 | 1回 | 30.9% | 43.4% |
◆全国成績(最近3節) | ||||
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14年 | 7月 | 多摩川 | ヴィーナス | 5 失 6 3 1 1 1 2 6 5 |
14年 | 6月 | 桐 生 | ヴィーナス | 1 1 1 3 4 4 6 3 1 1 |
14年 | 6月 | 大 村 | ヴィーナス | 4 6 1 1 3 4 1 6 1 6 1 2 |
◆三国成績(最近2節) | |||
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14年 | 5月 | GIII・AL | 1 6 1 1 1 2 1 1 失 1 6 |
14年 | 4月 | 一般競走 | 3 (途中帰郷) |
◆コース別成績(最近6ヵ月)
コース 進入率 |
1着率 | 2連率 | 3連率 | 平均ST | |
1コース | 20.7% | 60.0% | 68.0% | 80.0% | 0.14 |
2コース | 14.0% | 47.1% | 58.8% | 82.4% | 0.18 |
3コース | 19.8% | 33.3% | 50.0% | 62.5% | 0.15 |
4コース | 18.2% | 18.2% | 40.9% | 40.9% | 0.17 |
5コース | 14.0% | 11.8% | 17.6% | 35.3% | 0.17 |
6コース | 13.2% | 12.5% | 12.5% | 31.3% | 0.14 |
GI LADIES CHAMPIONSHIP(女子王座決定戦) 歴代優勝者(第13回からGI)
回 | 開催年 | 開催場 | 優勝者 |
---|---|---|---|
第1回 | 1987年 | 浜名湖 | 鈴木 弓子 |
第2回 | 1989年 | 多摩川 | 日高 逸子 |
第3回 | 1990年 | 多摩川 | 鵜飼菜穂子 |
第4回 | 1991年 | 蒲 郡 | 鵜飼菜穂子 |
第5回 | 1992年 | 戸 田 | 鵜飼菜穂子 |
第6回 | 1993年 | 多摩川 | 佐藤 正子 |
第7回 | 1994年 | 浜名湖 | 谷川 里江 |
第8回 | 1995年 | 多摩川 | 谷川 里江 |
第9回 | 1996年 | 戸 田 | 山川美由紀 |
第10回 | 1997年 | 蒲 郡 | 渡邊 博子 |
第11回 | 1998年 | 三 国 | 西村めぐみ |
第12回 | 1999年 | 尼 崎 | 横西 奏恵 |
第13回 | 2000年 | 丸 亀 | 柳澤 千春 |
第14回 | 2001年 | 多摩川 | 山川美由紀 |
第15回 | 2002年 | 徳 山 | 岩崎 芳美 |
回 | 開催年 | 開催場 | 優勝者 |
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第16回 | 2003年 | 芦 屋 | 西村めぐみ |
第17回 | 2004年 | 多摩川 | 海野ゆかり |
第18回 | 2005年 | 大 村 | 日高 逸子 |
第19回 | 2006年 | 浜名湖 | 横西 奏恵 |
第20回 | 2007年 | 徳 山 | 寺田 千恵 |
第21回 | 2008年 | 津 | 横西 奏恵 |
第22回 | 2009年 | 尼 崎 | 新田 芳美 |
第23回 | 2010年 | 下 関 | 寺田 千恵 |
第24回 | 2011年 | 三 国 | 田口 節子 |
第25回 | 2012年 | 多摩川 | 田口 節子 |
第26回 | 2012年 | 若 松 | 山川美由紀 |
第27回 | 2013年 | 鳴 門 | 金田 幸子 |
第28回大会 三 国 優勝戦2014年8月10日(日)・第12レース |

"最強女子"の名を欲しいままにした横西奏恵さん(引退)が津・第21 回大会で3回目の優勝。横西さんは山崎智也選手夫人。

"未冠の女王"と言われ続けた田口節子が女王初戴冠に涙した三国・第24回大会。続く多摩川・第25回大会も制した。

若松・第26回大会で3回目の優勝を果たした山川美由紀。今回大会では鵜飼菜穂子と共に、史上初の4回目の優勝に挑戦。
-- 今井選手は、富山の高校を卒業と同時にやまと学校に入学されています。1回目の受験で合格ですか?
今井「はい。合格して、友だちにボートレーサーになると言ったら、みんな『頑張ってね』と言ってくれましたが、富山ってボート レースがあまり知られていないので・・・。部活でカヌー部に所属していましたから、カヌーを続けると思った友だちも少なくなかったと思います(笑)」
-- カヌー部出身のボートレーサー?
今井「カヌー部では、インターハイや国体にも出場しました。高校卒業後の進路に悩んでいるときに、尊敬する先輩に『ボートレーサーを目指したら』とアドバイスされました」
-- それまでにボートレースを見たことはあったのですか?
今井「受験を決めた後、確かSGレースをしていた浜名湖ボートへ行きました。見た瞬間、カッコ良いな~って。直感で『この道 に進もう!』と思いました。受験に、父はすぐに賛成してくれました。母も、最初は難しい顔をしていましたけど、私の気持ちが伝わって、父と一緒に応援してくれました」
-- やまと学校の同期(106期)には女子が3名います。
今井「はい。森(世里)選手、坂口(愛)選手、私です。やまと学校時代、私は成績があまり良くなかった方で(苦笑)、毎日が悩みの連続でした。特にボートの操縦がなかなか思うようにいかなくて・・・。でも、同期の仲間にいっぱい支えられました。
同期の女子3人は同じ近畿地区ということもあって、今でも、困ったときは助け合ったり、オフの時間に遊びに行ったりしますし、良い関係だと思います」