直前インタビュー

地元・三国で「女王」戴冠を目指し、全国のファンにアピール!
直前インタビュー 今井美亜

 ボートレース三国の「GI第28回レディースチャンピオン(女子王座決定戦)」に、地元・福井支部からただ一人参戦するのが今井美亜選手です。私は三国の実況アナウンサーとして、デビューのときから彼女のレースに注目していますが、その成長ぶりはここ1、2年で急ピッチの感があります。まだA2級の身ではありますが、地元で「女王」戴冠を目指して果敢に戦い抜き、全国のファンにアピールしてほしいと思いながら、インタビューしました。

(インタビュー&構成/ボートレース実況アナウンサー・小林習之)

カヌー部出身のボートレーサー

-- 今井選手は、富山の高校を卒業と同時にやまと学校に入学されています。1回目の受験で合格ですか?

今井「はい。合格して、友だちにボートレーサーになると言ったら、みんな『頑張ってね』と言ってくれましたが、富山ってボート レースがあまり知られていないので・・・。部活でカヌー部に所属していましたから、カヌーを続けると思った友だちも少なくなかったと思います(笑)」

-- カヌー部出身のボートレーサー?

今井「カヌー部では、インターハイや国体にも出場しました。高校卒業後の進路に悩んでいるときに、尊敬する先輩に『ボートレーサーを目指したら』とアドバイスされました」

-- それまでにボートレースを見たことはあったのですか?

今井「受験を決めた後、確かSGレースをしていた浜名湖ボートへ行きました。見た瞬間、カッコ良いな~って。直感で『この道 に進もう!』と思いました。受験に、父はすぐに賛成してくれました。母も、最初は難しい顔をしていましたけど、私の気持ちが伝わって、父と一緒に応援してくれました」

-- やまと学校の同期(106期)には女子が3名います。

今井「はい。森(世里)選手、坂口(愛)選手、私です。やまと学校時代、私は成績があまり良くなかった方で(苦笑)、毎日が悩みの連続でした。特にボートの操縦がなかなか思うようにいかなくて・・・。でも、同期の仲間にいっぱい支えられました。
 同期の女子3人は同じ近畿地区ということもあって、今でも、困ったときは助け合ったり、オフの時間に遊びに行ったりしますし、良い関係だと思います」

今年の目標二つを同時に達成

-- やまと学校を卒業して、デビューは2010年の5月20日、地元の三国でした。

今井「師匠の古場(輝義)さんと秋元(誠)さんに、『とにかく、デビュー戦はフライングするな』と言われました。初出走のときは、とても緊張してスタートが遅れてしまいました(0.29)。そのことが悔しくて、『スタートを決めないといけない』と焦り、3走目にフライングしてしまって・・・。
 そんなふがいない成績なのに、『デビューできてよかったね』と周囲から多くの温かい声をもらって、とてもありがたかったです」

-- 水神祭はデビューしてから7ヵ月目、やはり地元・三国でした。

今井「その前の鳴門のタイトル戦で、先頭を走っていたのに抜かれて2着のレースがありました。その頃、同期がどんどん水神祭を飾っていたので、私もこのシリーズ(2010年12月・三国競艇大賞)でなんとか水神祭をしたいという気持ちがありました。混合戦で水神祭をしたいと思っていたので、余計に嬉しかったですね」

-- デビュー3期目でB1級に昇格し、2012年6月の大村の夢の初優勝W決定戦・マンスリー BOAT RACE杯で初優出。覚えていますか?

今井「覚えています。初優出・初優勝というのは1回しかチャンスがないので、狙っていました。狙い過ぎて力が入り、思ったスタートが行けずに6着でした(苦笑)」

-- そして、今年2月の尼崎GIII女子リーグ戦で初優勝を飾りました。予選道中は、気合が入ったでしょう?

今井「それが、それほどでもなかったんです。想像以上にモーターが仕上がっていたこともあって、『あれ? あれ?』という間に準優に進み、流れも良く優出、優勝できたという6日間でした。今年の目標がレディースチャンピオン出場と初優勝だったので、嬉しかったですね。お祝いの電話やメールもたくさんいただいて。特に、師匠の古場さんの『おめでとう。これからも頑張って』というメールは、短いですけど、心に響きました」

目指すは女子レーサーの"一番"

-- 今井選手が描く理想のレーススタイルとは、どのようなものですか?

今井「私は常に、どのコースからでも、自分でレースを作って攻めることを心がけています。理想は、大外から捲り差しを決めたら、『あれは美亜ちゃんじゃない!?』って、誰からも言われるようになりたいです」

-- お手本にしている選手とか、ライバルと意識している選手はいますか?

今井「お手本ということでは、金田(幸子)さんや三浦(永理)さんのような、上手なターンができるようになりたいです。ライバルですか・・・。『自分は自分』という感覚なので、誰かにライバル意識を持つということはありませんねえ」

-- 現在の課題は?

今井「自分はレースが楽しくないとダメなタイプだと思っているので、乗り心地(操縦性)を良くするセッティングにしようとするのですが、なかなかうまくいきません。とにかく、ボートに乗り続けて、少しでもレーサーとしての総合的な感性を身につけることに集中しています。今期は初のA1級、その先はA1級の維持という目標を実現したいです」

-- いよいよ、地元・三国のレディースチャンピオンの開催です。地元からただ一人の参戦でもあり、気合が入りますね。

今井「最初に高校時代カヌー部だったというお話をしましたが、今でもずっと尊敬している選手に、アテネ・北京・ロンドンオリンピックと3大会出場している北本忍さんという方がいらっしゃいます。北本さんは、本当にすばらしい方で、私の目標です。北本さんがカヌー界の一番だから、私はボートレースの世界で一番になりたいです。
 私にとって、ボートレースの世界で女子の一番になるということは、レディースチャンピオンで優勝することなんです。やまと学校のときから、そう思ってきました。地元・三国での開催が決まってからはなおさら、それだけを考えて緊張感を持ち続けてきました。でも、気合が入り過ぎないように、5月の地元GIIIオールレディースで優勝戦に乗ったときのように、リラックスして戦いたいです」

-- 今大会の目標は?

今井「まず一番に水神祭を飾ること、次に準優に乗ることです。勝って、準優入りしないと、優勝戦に出場することができませんから。一つ一つですね。自分の持ち味である、攻めるレースを続けて、一生懸命走りたいと思います」

今井 美亜 選手 データ室
(2014年7月6日現在)
レース写真
◆通算成績

出走回数 優出 優勝 2連率 3連率
通算成績 669回 4回 1回 30.9% 43.4%
◆全国成績(最近3節)
14年 7月 多摩川 ヴィーナス 5 失 6 3 1 1 1 2 6 5
14年 6月 桐 生 ヴィーナス 1 1 1 3 4 4 6 3 1 1
14年 6月 大 村 ヴィーナス 4 6 1 1 3 4 1 6 1 6 1 2
◆三国成績(最近2節)
14年 5月 GIII・AL 1 6 1 1 1 2 1 1 失 1 6
14年 4月 一般競走 3 (途中帰郷)

◆コース別成績(最近6ヵ月)


コース
進入率
1着率 2連率 3連率 平均ST
1コース 20.7% 60.0% 68.0% 80.0% 0.14
2コース 14.0% 47.1% 58.8% 82.4% 0.18
3コース 19.8% 33.3% 50.0% 62.5% 0.15
4コース 18.2% 18.2% 40.9% 40.9% 0.17
5コース 14.0% 11.8% 17.6% 35.3% 0.17
6コース 13.2% 12.5% 12.5% 31.3% 0.14


GI LADIES CHAMPIONSHIP(女子王座決定戦) 歴代優勝者(第13回からGI)
開催年 開催場 優勝者
第1回 1987年 浜名湖 鈴木 弓子
第2回 1989年 多摩川 日高 逸子
第3回 1990年 多摩川 鵜飼菜穂子
第4回 1991年 蒲 郡 鵜飼菜穂子
第5回 1992年 戸 田 鵜飼菜穂子
第6回 1993年 多摩川 佐藤 正子
第7回 1994年 浜名湖 谷川 里江
第8回 1995年 多摩川 谷川 里江
第9回 1996年 戸 田 山川美由紀
第10回 1997年 蒲 郡 渡邊 博子
第11回 1998年 三 国 西村めぐみ
第12回 1999年 尼 崎 横西 奏恵
第13回 2000年 丸 亀 柳澤 千春
第14回 2001年 多摩川 山川美由紀
第15回 2002年 徳 山 岩崎 芳美
開催年 開催場 優勝者
第16回 2003年 芦 屋 西村めぐみ
第17回 2004年 多摩川 海野ゆかり
第18回 2005年 大 村 日高 逸子
第19回 2006年 浜名湖 横西 奏恵
第20回 2007年 徳 山 寺田 千恵
第21回 2008年 横西 奏恵
第22回 2009年 尼 崎 新田 芳美
第23回 2010年 下 関 寺田 千恵
第24回 2011年 三 国 田口 節子
第25回 2012年 多摩川 田口 節子
第26回 2012年 若 松 山川美由紀
第27回 2013年 鳴 門 金田 幸子
第28回大会 三 国
優勝戦2014年8月10日(日)・第12レース

横西奏恵

"最強女子"の名を欲しいままにした横西奏恵さん(引退)が津・第21 回大会で3回目の優勝。横西さんは山崎智也選手夫人。

田口節子

"未冠の女王"と言われ続けた田口節子が女王初戴冠に涙した三国・第24回大会。続く多摩川・第25回大会も制した。

山川美由紀

若松・第26回大会で3回目の優勝を果たした山川美由紀。今回大会では鵜飼菜穂子と共に、史上初の4回目の優勝に挑戦。