基本は追い風　寒気団の動きに注意

小林　3年ぶりに、津でマスターズチャンピオン（名人戦）が開催されます。

淺香　私は第4回大会、第5回大会に出場しました。当時の名人戦は、昔のSG・GIの空気が漂っていましたね。

小林　高山秀則さんや野中和夫さん、加藤峻二さん、安岐真人さんなど、往年の名手がたくさん出場していましたね。

淺香　あの頃は、毎年「名人戦に出たい」という目標を掲げて走っていました。

小林　今回の津大会は4月下旬の開催ですが、水面状況はどうでしょう？

淺香　マスターズCが開催される4月の下旬は、だんだん気温が上がってくる時期です。海からの風が吹き、競走水面はホーム追い風の日が多くなりそうです。
　ただし、寒気団が入ってきた場合は、追い風になったり向い風になったりと、寒気団の位置によって風向きが変わります。

小林　寒気団の動き次第ということですね。

淺香　それでも、マスターズCに出場するくらいの選手なら、しっかりと対応してくると思いますよ。

津 昨年同時期 進入コース別入着率（2019年3～5月）

25 34 62 が“ビッグ3”モーター

小林　昨年9月から使用されている津のモーターですが、淺香さんが推奨するモーターを教えてください。

淺香　津の“ビッグ3”は25（39.3％・11位）34（49.1％・3位）62（50.0％・1位）の3基です。
　中でもイチ押しは、エースモーターの25。伸びは標準クラスですが、出足と回り足関係はとにかく強烈で、マスターズCで戦う選手が一番引き当てたいモーターでしょう。

小林　12月に三井所尊春が大整備して優勝、1月に福来剛選手がオール3連対で優勝しています。

淺香　34はモーター自体の素性の良さを評価しています。全体的にバランスの良いモーターです。62は準エース級の評価ですが、パワーは25と34に引けを取りません。このモーターも、どちらかと言うとバランス型になりますね。

小林　62は正月戦優勝モーターです。“ビッグ3”以外のモーターはどうですか？

淺香　他に挙げるとすれば…15（36.8％・16位）と58（33.0％・33位）。15は総合的に良いモーターですね。58は伸びの良さが目立ちます。伸びにあまり差のない現行モーターですが、伸び型の仕上がりに期待できます。

モーター2連率ベスト20
（2019年9月・使用開始～2020年3月11日）

●津はチルト3度まで使用できます。　

選手の一瞬の仕草も、予想に生かす

小林　今回、淺香さんがマスターズCの展示解説をされますが、予想するうえで注目しているポイントはありますか？

淺香　私が津で予想をする時は“インの選手がどのような動きをするか”を中心に置いて考えます。現在の津のモーターは、それほど伸びに差がありませんので、イン艇の動きが軸になります。
　あとは、スタートから1マークに向かっていく時の勢いや、回った時の気配ですね。私自身が実際にボートに乗っていた経験を元に、自分が感じ取ったものを大事にしています。
　私もインで闘い続けた選手ですので、選手の一瞬の仕草など、いつもと微妙に違っている所があればわかります。そういう感性を含めて、なるだけわかりやすく、ファンの方に伝えようと意識しています。

小林　淺香さんの周回展示解説は、各選手の心理まで読み取っているんですね。担当MCとして、淺香さんの考えを限界まで引き出したいと思います。

淺香　こちらこそ、よろしく（笑）。

業界を引っ張ってきた豊とニシに期待

小林　今回のマスターズCでは、誰に期待していますか？

淺香　一番は、3年前の津大会で優勝した（今村）豊。私の希望も入っているのですが、豊は長きに渡ってボートレース業界を引っ張ってきた存在だし、どうしても活躍して欲しい。

　そして、ニシ（西島義則）。ニシが走ると、進入から面白くなってマスターズCらしい空気が出るし、楽しみが増えてきますね。5月住之江のSGオールスターにも選ばれましたし、活躍する材料は揃っています。

若手では松井＆太田が津実績上位

小林　出場資格が45歳以上に引き下げられて、年々レベルが上がっていますが…。

淺香　そうですね。若手では、津を得意にしている松井繁選手と太田和美選手にエールを送りたい。昨年は2人ともGIを勝っているし、まだまだ頑張れるはずです。
　2人と記念戦線で一緒に戦ってきた、“同じ釜の飯を食べた”人間として、彼らが結果を出してくれることを願います。

小林　残念ながら、地元三重支部からの出場者はいません。

淺香　地元不在の分は、同じ東海地区で、選考勝率1位の徳増秀樹選手に頑張って欲しいですね。何としても優勝争いに食い込んで欲しい。三重支部の選手の分まで活躍してくれることを期待しています。