準優当確だった丸亀周年での予選ラストの勇み足は痛すぎるが、対女子においては、50%に迫る1着率で2連率は75%と、今年は無敵の強さを誇示する。
　それらはすべて「特別なレース」であるこの大会を制するための助走である。昨年の丸亀・レディースチャンピオンが終わってから6月大村ヴィーナスシリーズで優勝するまで、平山は女子戦のドリーム戦に11回乗っている。そのうち1号艇をもらったのが8回、2号艇が1回、3号艇が1回、5号艇1回。1号艇時はもちろん、8回とも1コースを取っている。成績の方は2 1 1 1 1 2 2 2着と、モーターに関係なくオール2連対だ。平山のイン逃げを阻止したのは大瀧明日香（4コース）、魚谷香織（4コース）、谷川里江（2コース）、遠藤エミ（5コース）で、ダッシュ勢に敗れるという傾向を覚えておきたい。

　「最近は自分に合うエンジンを引くとか、相性の良さとか、序盤からリズムに乗れるかとか、その場に行ってからの要素が大きいですね。プロペラはマニアックなままでも、エンジンが毎回変わるので、仕上がりのイメージもいろいろ作っています。
　レディースチャンピオンは女子の中の大きな大会なので、100%に近い力を出せるように準備していきます。賞金的にも、このあたりで一発決めたいですね」

　肩に力を入れない自然体の走りで優出の連続と、女子では無類の安定感を誇る。長期的な戦略のもと、夏と冬の大一番に照準を合わせてしっかりテンションを上げてくる姿は、王者・松井繁を彷彿させる。まさにプロレーサー。

　「最近はプロペラが合わせられなくて、納得のいく仕上がりにできていません。でも、少しでも良くできればと思うくらいで、あまり悩まないようにしています。
　レディースチャンピオンに続けて出られるのも、ドリーム戦に乗れるのも、たまたまですよ。いつも事故点でカツカツでしたから。結果がどうなるかわかりませんが、調整を含めて一走一走をしっかり走りたいと思います。できれば攻めるレースがしたいですね」

　極限まで伸びに特化させた舟足で直線勝負を仕掛けていたあの細川が、いまは機敏なさばきを主体に高勝率を叩き出す。「伸びがつかない」ゆえの策だが、その柔軟さとアウトも苦にしない自在性は、時代を制する第一条件だ。