ドリーム戦

3年前の鳴門大会では予選1位通過も準優でFに散った。しかし、この一戦が「僕を強くした」と言う。2017年丸亀大会を制し、昨年グランプリ制覇で頂点に立ったが、SGはまだ2冠。峰の最強への道はこれからだ。

「正直言って調子とかは気にしていないけど、最近プロペラが当たっているし、調子は良いですよ。グランプリを勝ってから、ずっと準優勝戦を1枠で乗れているし、自分に本当の底力が付いてきたのを感じています。グランプリを勝ったことが自信になりましたね。でも、達成感はあったけど満足感はなかった。ここがゴールじゃないと感じたんですよね。1レース、1ターンをもっとしっかりやらないといけない。全くミスをしない完璧なレースをしたい。ドリーム1枠は責任感も違うので、しっかり責任を果たしたい。賞金ランクを良い位置に付けるためにも頑張ります」

2年前のF多発からリズムを崩していたが、ようやくトップ戦線で活躍する兆しが見えてきた。最近はスリットで目立たなくても全速戦で伸びを生かす場面が増えている。2月津周年で優勝と復活ムードは高まるばかり。

「ここ最近はエンジンなりに仕上がってくれます。初日からバチッと合うことは少ないけど、どこを走ってもまずまずって感じにはなってくれますね。調整の方向性は定まっているし、調整に関して不安はないです。不安があるとすればスタート。コンスタントにフライングを切ってしまっているので、思い切っては行けていません。そこは永遠の課題です。冬よりも夏のほうが勝率が取れる傾向があるし、夏は好きですよ。しっかりレース感覚を整えて、オーシャンカップに臨みたいです。ドリームは1着とは言わないので、2着は欲しいな(笑)」

昨年の尼崎オールスター優勝戦では4カドから気迫の攻めに出たが6着大敗。その後のクールダウンが福岡、尼崎の両周年での5コース優勝を呼んだ。熱い攻めと冷静なさばき、そのバランスが取れた今が第2の充実期だ。

「戸田でSGを久しぶりに勝てたし、リズムは良いです。良いエンジンを引けているのもあるけど、昨年グランプリに行けたことでモチベーションも上がりました。でも、最後の6人に残らないと面白くない。やっぱり、最後の6人に残るためには、最初の6人にならないといけない。そのためにも、ドリームから出られるオーシャンカップは大事ですね。常滑は苦戦しているイメージだけど、GIを1回勝っているし、水面に対して嫌なイメージはないですよ。悪いエンジンを引かない限りは、仕上げられる自信があるので、良いレースをしたいですね」

数年前に菊地がよく口にした言葉は「土台固め」だった。昨年は優勝0回ながらもグランプリに出場と、安定感が菊地を表す言葉になりつつある。ただ、安定を求めるだけの土台ではない。そろそろ爆発力を発揮するか。

「近況は自分の方向性が定まっていないですね。いろいろと試しながらの調整で迷いながらレースをしています。最終的には良いところで仕上げられることもあるけど、なんせ仕上がりが遅い。『よし!』と思っても気づけば最終日みたいな感じで…。どこかで自信をもって『これで大丈夫』というシリーズを作っておきたい。常滑はGI初Vの水面だけど、最近は良い、悪いがはっきりしている。せっかくのドリーム発進なので、時間を有効に使いたい。まずはオーシャンカップまでに“これ”という核になる方向性を見つけたいです」

当大会実績こそ見劣るが、調整力が試される夏場のSG戦線は、グラチャンで2優勝を挙げている。その1つは13年当地で勝ち獲ったもの。近況も冬場に調子を落としたが、春先からジワリとリズムを上げてきた。

「最近の調子は一時期に比べれば上がってきていると思います。でも、自分の体感とプロペラが上手くマッチしてくれないことも多いですね。3~4年くらい前から『こうなりそうだな』っていう予兆があって、違和感を感じながら走っていました。まあ、今は我慢の時でしょう。僕らの仕事はどれだけ我慢できるかが大きいし、そこで真価が問われるからね。常滑は走る機会も多いし、呼んでもらえるのは意気に感じていますよ。成績もしっかり取れているし、自分の調整にも合っているんでしょう。エンジンさえまともなら、仕事はできると思います」

今年開催された常滑65周年と66周年の勝ち方が凄かった。使用モーターはどちらもワースト級。整備による立て直しもあったが、スタートとターンに気迫を込めて、勝利をつかんだ。ここで勝って「常滑無敵伝説」を作るか。

「地元のSGでドリーム戦に選んでいただいたのは嬉しいです。ただ、地元と言ってもやっぱり6コースでは勝ちづらいです。コースを動くかどうかは仕上がりにもよりますけど、基本的には動きません。コースを動いたからといって勝てるわけではないので、自分の行きやすい所からいきます。常滑水面には問題もないので、プロペラを巧く合わせて、何のストレスもなくレースに行きたいです。地元意識はありますけど、40歳を過ぎて、そんなに気持ちを入れることはなくなっています。5年ぶりのSG開催だし、“これが最後の常滑SG”という気持ちで走ります」