SG舟券の基本を、改めて考える。

※登録第3897号白井英治選手(山口支部)及び登録第4344号新田雄史選手(三重支部)は、第29回グランドチャンピオン準優勝戦において選手責任事由によるスタート事故を起こしたため、標記競走へのあっせんが取り消しとなりました。予めご了承ください。

ボートレースの底は驚くほど浅い

SG舟券の基本を、改めて考える。 レベルが上がるほど本命になる

「ボートレースは奥が深い」 と言う人は多い。そう考える人が舟券で勝ったという話は、あまり聞かない。舟券を買っても当たらないから「奥が深い」と感じるだけで、簡単に的中すれば、浅いと思うのだろう。
 18頭立ての競馬や9車立ての競輪ならともかく、6艇で戦うボートレースの難易度は低い。3連単で120通りしかない。加えて、SGに出る選手は、どんな水面でも乗りこなす。ハイレベルなレースほど波乱要素がなくなり、当たり前の結果になる。
 高配当の夢も良いが、舟券を的中させたいなら“当たり前”を切り捨てないことだ。現実を知れば、ボートレースの底は驚くほど浅い。

王道仕方なし。SG優勝戦は白い

最近2年のSG優勝戦結果を調べてみた。なお、グランプリは勝ち上がり方が違うため除外した。
 感想は一言、白い。1号艇の1着20点以内に集中している。
 理由は簡単で、そういうルールだからである。現行のルールではSGの準優、優勝戦の枠番は予選得点率で決まる。予選得点率上位3名に準優1号艇が与えられ、準優1着者のうち予選得点率トップの選手に優勝戦の1号艇が与えられる。優勝戦の枠番を抽選で決めていた頃もあったが、今はシリーズで最も成績の良い選手に1号艇が与えられる。
 予選トップ通過で準優、優勝戦とも1号艇を手にして優勝という“王道V”は、凄いのではなく当たり前。これで負けたら、シード番組よりも精神的ダメージは大きいだろうと思う。
 逆に、1号艇で準優に乗れなければ優勝戦の内枠は期待薄。準優で2着になった時点で、際どいスタートを行くか展開を突くしか優勝する方法はなくなる。SG優勝戦のスタート事故には厳しいペナルティーが課せられるので、スタートに対する自重が働く。ダッシュ捲りでの優勝は現行制度だと厳しい。展開待ちで優勝するのは限られたパターンしかない。結果的に1号艇が勝つパターンが制度的にでき上がっている。真っ白な結果が教えてくれた事実である。

最近2年SG優勝者の準優→優勝戦枠番&優勝戦3連単結果
レース名 優勝者 準優
枠番
優勝戦
枠番
優勝戦3連単結果
連番 払戻金
2017年
クラシック 桐生 順平 1号艇 1号艇 152 4,280円
オールスター 石野 貴之 1号艇 1号艇 134 1,390円
グラチャン 石野 貴之 1号艇 1号艇 143 1,440円
オーシャンC 峰  竜太 1号艇 1号艇 145 2,740円
メモリアル 寺田  祥 1号艇 1号艇 123 730円
ダービー 深川 真二 5号艇 6号艇 612 27,170円
チャレンジC 毒島  誠 1号艇 1号艇 124 970円
GPシリーズ 新田 雄史 1号艇 1号艇 124 1,820円
2018年
クラシック 井口 佳典 1号艇 2号艇 246 25,140円
オールスター 中島 孝平 1号艇 1号艇 153 2,760円
グラチャン 白井 英治 1号艇 1号艇 123 860円
オーシャンC 毒島  誠 3号艇 2号艇 245 16,480円
メモリアル 毒島  誠 1号艇 1号艇 145 2,750円
ダービー 守田 俊介 1号艇 1号艇 146 2,000円
チャレンジC 馬場 貴也 1号艇 1号艇 125 1,260円
GPシリーズ 平尾 崇典 1号艇 1号艇 134 1,380円
2019年
クラシック 吉川 元浩 1号艇 1号艇 135 3,120円
オールスター 吉川 元浩 1号艇 1号艇 152 3,570円
(グランプリは除く)

選手が神経を使う1号艇と6号艇

最近1年SG優勝者の節間成績
2018年

浜名湖クラシック

井口佳典

枠番 3 6 2 1 4 1 2
進入 3 6 2 1 4 1 2
成績 1 2 2 2 2 1 1

尼崎オールスター

中島孝平

枠番 2 4 1 3 6 1 1
進入 2 4 1 3 6 1 1
成績 3 2 1 1 2 1 1

徳山グラチャン

白井英治

枠番 3 6 2 4 1 5 1 1
進入 3 4 2 4 1 4 1 1
成績 3 5 2 3 1 1 1 1

若松オーシャン

毒島 誠

枠番 6 3 2 4 5 1 3 2
進入 5 3 2 3 5 1 3 2
成績 3 3 4 1 3 2 1 1

丸亀メモリアル

毒島 誠

枠番 3 1 6 4 5 2 1 1
進入 3 1 2 3 5 2 1 1
成績 3 1 1 1 1 1 1 1

蒲郡ダービー

守田俊介

枠番 4 1 6 2 5 3 1 1
進入 4 1 2 2 5 3 1 1
成績 1 1 4 1 2 2 1 1

芦屋チャレンジC

馬場貴也

枠番 6 5 4 1 3 1 1
進入 6 5 5 1 3 1 1
成績 3 1 4 1 3 1 1

住之江GPシリーズ

平尾崇典

枠番 5 1 6 3 2 1 1
進入 5 1 6 3 2 1 1
成績 1 1 2 3 1 1 1
2019年

戸田クラシック

吉川元浩

枠番 3 6 2 4 1 5 1 1
進入 3 6 2 4 1 2 1 1
成績 2 2 1 4 1 3 1 1

福岡オールスター

吉川元浩

枠番 1 2 4 3 5 6 1 1
進入 1 3 4 4 5 5 1 1
成績 1 1 1 1 3 4 1 1
(グランプリは除く)

シード番組など存在しないSGでは、ほとんどの選手に予選で1~6号艇が回ってくる。準優で1号艇を手にするために大切なのは、1号艇で1着を獲ることと、6号艇で大敗しないことの2つである。
 1号艇は勝ちに出る枠である。1コースの1着率が全国平均で50%を超える状況では、インで勝てるかどうかがモーター評価の基本になる。予選期間中に1回しか回って来ない1号艇で、インも取れずに大敗するようなら予選通過はまずない。「モーターが悪い」と見切ってしまえば良い。
 6号艇が回ってきたときに、選手が取る選択肢は2つある。1つは「6枠で6コースでは勝算なし」と判断してコース取りで動く。昨年のSG優勝者では白井英治、毒島誠、守田俊介がコース取りで動いていた。
 もう1つは、「1着を獲れなくても2着、3着で十分」と、6コースから動かず中間着を狙うケースだ。点増しのあるドリーム戦を除けば、得点は1着から10点、8点、6点、4点、2点、1点。1着+6着なら得点率は5.50しかなく、予選ボーダーの6.00に届かない。でも1着+2着なら9.00、1着+3着は8.00と高い得点率を維持できる。井口佳典、中島孝平、馬場貴也、平尾崇典が6コースで3着までに入っている。


6号艇の走り方は2パターン

「皆と同じ」では高配当にならず

これまでのデータで購入意欲を削がれた万穴党も少なくないだろう。しかし、高配当を狙うなら上のデータを素直に見てはいけない。当たり前の結論では、高配当にならないからだ。
 高配当を手にするには、人気過剰の選手を見つけなければならない。JLCの中継では「枠番別10場所成績」や「新概念データ」など、コース成績に関するレベルの高いデータが提供されている。各レース場のオリジナルタイムも参考になるデータだ。
 しかし、これで舟券勝負をしても高配当にはならない。皆が使うデータを活用しても、皆と同レベルの予想しかできない。記者の穴予想を見ていても「素直すぎる」と思うことが多い。高配当に必要なのは一捻り、「いつもと違う」視点である。データを裏切る結果について考察することである。1号艇のインで負けるはずのない選手が大敗する。データではインで10連勝しているにも関わらず、結果はイン大敗。この時点で「いつもと違う」と考える。大半の理由はモーターの仕上がりである。4コースで捲るはずが捲れず大敗する。これも「いつもと違う」になる。2走続けて「いつもと違う」が起きれば、一つの結論を下しても構わない。SG覇者だろうが、1番人気だろうが「外し」の対象選手になる。

選手も仕事、稼いでナンボの世界

では、「いつもと違う」視点とは何か。5月の福岡オールスター最終日、第4レースの結果を見てみよう。
 人気は1号艇の赤岩と、準優進出した田中、上野の内枠3者に集まり、6号艇の松井は人気薄。「予選のインで勝っているから」「準優出したから」「6枠で展示も悪い」と考えるのは当たり前で、今垣や石川に評価できる要素は見当たらない。順当なオッズだ。

レース結果(2019年5月26日・第4レース)

登番 枠番 選手名 展示タイム 進入 ST
1 5 石川 真二 6.89 2 13
2 4 今垣光太郎 6.86 3 15
3 1 赤岩 善生 6.87 1 09
4 6 松井  繁 6.92 6 34
5 2 田中信一郎 6.91 5 35
6 3 上野真之介 6.89 4 16
2連単 5-4 10,840円(27番人気)
3連単 5-4-1 55,850円(101番人気)
決まり手=差し

これでは高配当にならないので、第11レース・特別選抜まで視点を広げてみよう。「後半に特別選抜を控える田中、上野は無理をしない」と見れば、買い方はガラリと変わる。一般戦の1着賞金21万円に対して、特別選抜A戦は350万円、B戦は250万円と高い(オーシャンCは300万円、210万円)。「高額賞金レースの前に、事故はしたくない」と考えるのは、ごく普通のことではないか。
 「2、3号艇の1着はなし」と決めたら3連単は80点、「枠も展示も悪い」6号艇の1着も削れば60点まで減る。6号艇を完全に見切れば36点まで削れる。あとは財布との相談だ。
 SGの優勝予想は条件の良い選手の選び出しだが、高配当は条件の悪い選手を削っていく作業だ。赤岩善生が敗れる理由も、石川や今垣が勝つ理由も無理に考えなくて良い。ただ、削って残ったから買うのである。

“当たり前”の結論を改めて言う

結論を言おう。今回のオーシャンカップで優勝するのは「準優1号艇で準優1着」かつ「6号艇を攻略した」選手だ。いくら知名度があっても、走り慣れた水面でも、それまでの調子が良くても、勝つ理由がなければ勝てない。
 だからSG優勝戦は配当が安い。これも、考えてみれば当たり前のことなのである。

難しい機力判断は、コース別成績で解決!

 SGに限らず、舟券の基本は「選手」「モーター」「レース場」の3つである。
 選手は(1)着順傾向、(2)コース成績、(3)決まり手傾向から全体像が見えてくる。(1)で1着が多いか、(2)でイン戦の信頼度、(3)で捲るか差しに構えるかがわかる。
 ただ、選手データ通りに行くかはモーター次第だ。機力判断に使うのが、このコース別入着率である。ベスト5入りしている選手が、データどおりの結果を残せないなら「モーター不安」、残せば「モーター順調」になる。そこから舟券を考えれば過剰人気の選手に振り回されることもなくなる。
 オーシャンCはGI・GII優勝戦と予選得点で出場者が決まる。一般戦と違って選手の実力差は小さく、機力差が着順に反映しやすい。1コースで負けるようなら機力はワースト級だ。また、6コースで3着以内に入れない選手も予選通過は難しい。予選通過できない選手が舟券で貢献できるわけがない。早めにシリーズの勝ち組、負け組を見つけることが大切だ。

SG第24回オーシャンカップ出場選手 最近1年 進入コース別入着率ベスト5
(2018年6月1日~2019年5月26日 SG・GIのみ)
1コース
順位 選手名 1着率 順位 選手名 2着率 順位 選手名 3着率
1 徳増 秀樹 88.9% 1 岡崎 恭裕 44.1% 1 武田 光史 33.3%
2 篠崎 仁志 84.4% 2 瓜生 正義 42.9% 2 松尾  拓 22.2%
3 池田 浩二 83.8% 3 寺田  祥 28.6% 3 大峯  豊 18.2%
4 馬場 貴也 83.3% 3 鶴本 崇文 28.6% 4 河村  了 16.7%
5 中野 次郎 82.4% 5 桐生 順平 22.2% 5 金子 拓矢 15.4%
5 山川美由紀 22.2%
5 重成 一人 22.2%
5 魚谷 智之 22.2%
峰竜太 峰のイン1着率は75%で意外と低い

選手不問で売れるイン戦だが、実は… 1コース1着率ベスト5に峰の名前がない。絶対的な本命になる最近の峰だが、SGやGIでも人気の死角あり。岡崎、瓜生の1コースは1着よりも2着受けしたい。

2コース
順位 選手名 1着率 順位 選手名 2着率 順位 選手名 3着率
1 上野真之介 29.4% 1 齊藤  仁 64.3% 1 魚谷 智之 38.1%
2 丸岡 正典 28.6% 2 興津  藍 53.8% 2 吉川 元浩 37.0%
3 茅原 悠紀 28.0% 3 山崎 智也 52.2% 3 桐生 順平 36.8%
4 池田 浩二 26.7% 4 白井 英治 44.4% 4 河村  了 35.3%
5 重成 一人 23.8% 5 赤岩 善生 40.9% 5 武田 光史 33.3%
5 馬場 貴也 23.8%
上野真之介 差し構えの上野の2コース戦はインが残る

2コース差し切りはインコースを残す 上野の2コースは差しばかり。捲ればインがつぶれるが、差しはインが残る。2コースの上野が勝ったときの3連単出目には必ず1号艇が絡んでいる。齊藤はインを逃がす。

3コース
順位 選手名 1着率 順位 選手名 2着率 順位 選手名 3着率
1 毒島  誠 29.0% 1 寺田  祥 45.0% 1 篠崎 仁志 34.8%
2 丸岡 正典 28.6% 2 吉川 元浩 44.8% 2 中田 竜太 33.3%
3 峰  竜太 25.0% 3 井口 佳典 43.5% 3 毒島  誠 32.3%
3 新田 雄史 25.0% 4 徳増 秀樹 38.9% 4 松尾  拓 30.8%
5 笠原  亮 23.5% 5 石野 貴之 37.9% 5 池田 浩二 30.0%
5 中野 次郎 23.5% 5 鶴本 崇文 30.0%
毒島誠 毒島、峰の3コースは捲り、新田は捲り差し

SG・GIで攻めるコースは3コース 毒島の3コースは1着率と3着率でベスト5入り。舟券の対象から外せない。2着が際立っているのは寺田、吉川、井口の3名。差しが多く、1号艇を1着にしておきたい。

4コース
順位 選手名 1着率 順位 選手名 2着率 順位 選手名 3着率
1 市橋 卓士 33.3% 1 山川美由紀 40.0% 1 寺田 千恵 66.7%
2 河村  了 25.0% 2 江夏  満 38.5% 2 坪井 康晴 50.0%
3 上條 暢嵩 23.5% 3 山口  剛 37.5% 3 鶴本 崇文 40.0%
4 毒島  誠 21.4% 3 平本 真之 37.5% 4 平本 真之 37.5%
5 岡崎 恭裕 20.6% 5 瓜生 正義 34.8% 5 池田 浩二 36.0%
平本真之 2、3着率は高い平本だが、1着率は0%

SG・GIの4コースは攻められない 4コースはカド攻めのイメージが強いが、3コースが先に動くため、攻め切れず2、3着絡みが多い。太田、赤岩、井口、平本ら4コース1着率が0%の選手は9名もいる。

5コース
順位 選手名 1着率 順位 選手名 2着率 順位 選手名 3着率
1 池田 浩二 22.7% 1 平本 真之 41.2% 1 桐生 順平 43.5%
2 毒島  誠 20.0% 2 茅原 悠紀 29.0% 2 上條 暢嵩 42.9%
2 上野真之介 20.0% 3 丸岡 正典 28.6% 3 井口 佳典 33.3%
2 笠原  亮 20.0% 4 毒島  誠 28.0% 3 鶴本 崇文 33.3%
5 峰  竜太 17.6% 5 峰  竜太 26.5% 5 濱野谷憲吾 28.0%
5 平本 真之 17.6%
池田浩二 池田は当地周年でも捲り差しで1着獲り

5コースは捲り差しの巧い選手を狙え 奇数枠の池田は強い。インでベスト5入りしていなかった峰も5コースでは好成績だ。捲り差しの角度とスピードが違う。毒島も同じような走り方で、舟券から外せない。

6コース
順位 選手名 1着率 順位 選手名 2着率 順位 選手名 3着率
1 桐生 順平 15.4% 1 毒島  誠 27.8% 1 毒島  誠 38.9%
2 上條 暢嵩 11.8% 2 上野真之介 27.3% 2 桐生 順平 38.5%
3 峰  竜太 11.1% 3 山川美由紀 25.0% 3 吉川 元浩 34.8%
4 井口 佳典 10.0% 4 峰  竜太 22.2% 4 白井 英治 33.3%
5 瓜生 正義 9.5% 5 井口 佳典 20.0% 5 新田 雄史 32.0%
5 金子 拓矢 20.0%
桐生順平 桐生はスピード旋回で着順を上げてくる

スピード野郎は6コースを苦にしない 桐生、峰、毒島といえば“スピード戦の3強”だ。1マークで不利な6コースでも、道中追い上げがある。6コースを克服する力があるので、予選トップ通過が可能になる。