ドリーム戦
若手の登竜門として存在するこの大会で、SGでもGIでも既に優勝経験があるというのは反則ではないかと思え、しかも初代チャンプでもある。通算16回にもおよぶGI優出ひとつをとっても"格"以上に真の実力差を感じさせる。
今年もここまでSGは皆勤、GIは8戦して6回の優出(優勝2回)と王道を突き進む。「勝って当たり前」が逆にプレッシャーとなるか。いや、それさえも"楽しみ"に変えてしまう度量の大きさが桐生の強みだ。
実績で他を凌駕する桐生に対し唯一対抗できる存在。23歳の若さで華々しくSG(浜名湖オールスター)制覇を成し遂げたが、翌年のメモリアル優勝戦Fで1年間のSG戦線離脱と試練も味わった。SG初制覇直前にはやはりSG(平和島クラシック)優勝戦で、今も語り継がれるSG史に残る大死闘を演じ大器の片鱗をうかがわせた。
今年はここまで既にSG優出2回と"あの年"以来の勢いだが、垣間見るその表情は当時と違い自信ありげだ。
8月の津レディースチャンピオンで初のGI優出を果たした。モーター面は優位ではなかったが、パワー勢にはスピードで対抗し勝ち進んだ。特にアウト戦での思い切ったレースには一段と成長の跡が。
評価が難しい男子との戦いだが、この大会は一昨年は準優入りし、昨年は予選落ち。ただ、昨年のSGデビューとなった蒲郡メモリアルでは2勝、SG3戦目の今年の尼崎オールスターでは準優入り。しかも日々進化中とあれば"勝算あり"だろう。
昨年のヤングダービーは最終日の敗者戦でようやく初白星とまさかの苦戦を強いられた。しかし直後の地元GIでは、居並ぶ強豪を相手に優出を果たし準優勝と気を吐いた。モーターの良否の関係もあるが、強いときとそうでないときがはっきりしている。
GI優出はこれまで6回。内弁慶的な印象を持たれるが、うち4回が地元水面以外での実績だ。30歳を目前にひとつのケジメとして、キャリアを生かした冷静なハンドルさばきに期待が集まる。
2012年にはこのヤングダービーの前身にあたる新鋭王座が2度開催されたが、1月の芦屋大会でGI初出場を果たすと、9月の徳山大会では予選を突破して準優3着と奮戦。14年~15年はF禍もあって思うほど成績を伸ばせなかったが、16年の今年、再び記念戦線に挑戦する。
丸亀ウエスタンヤングでは、2日目から4連勝するなど予選から他を圧倒する内容で、準優戦~優勝戦は堂々の逃げ切り。もう迷いはなく、前途は洋々だ。
まだA1級の経験がないばかりか、ここ2期はB級暮らしである。過去に2度新鋭王座に出場したが、それが特別戦の実績の全てだ。
そんな平田が浜名湖イースタンヤングで優勝とまさに千載一遇のチャンスをものにしたのだが、8戦5勝のその内容は素晴らしいの一語。振り返れば2度目の新鋭王座で準優に駒を進め3着と健闘しているように、勝負強さは生来のものか。現時点での活躍は単発的だが、楽しみなレーサーがまた増えたといえそうだ。