尼崎オールスターでは「6着も覚悟した」というモーター気配で初日ドリームを3着にまとめると、翌日には初白星、そして気づけば準優1号艇でインから快勝。平和島クラシック優出からただ1人のSG連続優出者となった。SGの中のSGであるグラチャン出場は最多の22回目。SGレーサーの中のSGレーサーである松井に最もふさわしい大会だが、意外にも未冠のタイトル。しなやかで、強靭な、王者が自然体で"初制覇"に挑む。

13年暮れのグランプリ制覇を最後にSG、GI優勝から遠ざかる。今年もSG戦線では予選落ちが続くなど"最強の男"がいま、苦境に立たされている。不振の最大の要因はパワー負けにあるようだが、ならば自身の力で突き破るしかない。地元で迎えるこの大会はまさに真価を問われる一戦になる。緊張感を力にかえる精神力の持ち主だけに、地元ファンの大声援もまた大きな後ろ盾に。最高の見せ場で、最強のウィリーターン炸裂へ。

平和島クラシックでは準優で、尼崎オールスターでは序盤に早々と、いずれも妨害失格と今年のSG戦線では不本意な結果が続く。3年前の夏の夜に彗星のごとく現れ、SG覇者の仲間入りを果たした毒島だけに、嫌なムードを断ち切るには今回は絶好の舞台といえそう。どこからでも、どんな展開でも俊敏に間隙を突き破るあの大技は、ナイター水面でより鋭さが強調される。物静かな立ち振る舞いの内に秘めた闘争心にブレはない。