平和島の舟券作戦
近年は多場発売が主流になって、短時間の推理で舟券を買うファンが増えています。その方法が中穴や高配当の多い平和島、それも女子最強を決めるクイーンズクライマックスでも通用するのか…。
ということで、平和島ならこの人! 平和島ホームページ「直前予想」担当の『ファイティングボートガイド』長船記者に、レースの予想に入るまでの流れを聞きに行きました。
本場に行けないファンも、情報はすべて平和島ホームページ「直前予想」で手に入ります
石井 レース前日、ガイド本紙の予想に入る前に何かしますか?
長船 前日にすること…あっ、風だね! 向かい風か、追い風か、あと風の強さをチェックする。
石井 平和島の紙面はほかのレース場(戸田・江戸川・多摩川)よりも気象について詳しく書いてありますもんね。
長船 そうでしょう? 平和島では風が一番大事ということを、読者に知ってもらいたいから、風に紙面を割いているんだ。原稿の半分以上が風の情報になることもあるね。
石井 気温はどうでしょうか?
長船 気温で「(モーターが)回る、回らない」は大事な条件だけど、それは選手サイドの問題。我々は気温の変化への選手の対応、それによってできた結果としての気配の見極めが仕事。だから、やっぱり風が一番だね。
石井 明日は晴れ、向かい風5mとか見ておけば良いんですか?
長船 北風、南風という風向きだけじゃないよ。風の切り替わりのタイミングを探すんだ。それが平和島の難しさだから。
12月の平和島は、向かい風の予報が出ていても、昼になって気温が上がってくると「ピュッ」と追い風が吹くときがある。そんなときは、スタートがバラバラになって穴が出やすくなるんだよ。天気が良くて、風が強く吹かなそうなときこそ、風の切り替わる時間を調べるね。
石井 長船さんは平和島ホームページの当日予想も担当しています。レース当日の行動を教えてください。
長船 やっぱり風のチェックだね。向かい風か追い風か、何m吹いているかを確認する。これは昔からやっていることだけど、朝、記者席に向かうときは水面ギリギリのフェンス側を歩くことを日課にしている。風を体で感じることも大事だよ。
スタート展示は生で1回、場内テレビで1回、パソコンで2回見る
石井 スタート展示で見るポイントは?
長船 ポイントとしては、一度で6人の動きをザックリと見ようとしないこと。「自分は展示が見えている!」と思っている人は、それをやりがち。人間の目はそんな便利にできていないよ(笑)。
自分は平和島の常駐記者だから、このモーターは伸びる、このモーターはダメだという情報が頭に入っている。それを念頭に置いて、展示を見る基準を立てている。
俺、スタート展示を4回見ているんだよ。生で見て、場内テレビの中継で見て、パソコンで2回見る。タイムラグがあるからね。5と6の比較、3と4の比較、1と2の比較と、順番にね。で、最後の4回目で全体の比較をする。
石井 確かに長船さん、生で展示を見た後、場内の映像見てますもんね。
石井 周回展示はどうなんですか?
長船 周回展示は、参考にはできるけど絶対ではないと思っている。基本的に周回展示と本番のターンが違う選手が多いと思ったほうが良い。展示は落として回っているんだけど、本番では握っていく選手もいるし…。
周回展示のターンで気配を見極めるには、その選手のターンの仕方や展示のクセなどを知っておかないといけない。相当なキャリアが要るし、見る人がどこに注目して見ているかで、良し悪しの評価は変わってくる。
逆に、スタート展示の伸びの差は正直。向かい風が吹く冬場は、その差がさらに明確に表れる。俺は“7対3”ぐらいでスタート展示に比重を置いている。直前予想の文章では、スタート展示の評価に大部分を割いているよ。
石井 風を調べ、展示航走で情報を集めました。これ、どんな舟券になるんですか?
長船 平和島での舟券作戦だよね? よく言っているんだけど、普段はボックス券を買わない人も、平和島では絶対にボックス券を買ったほうが良い。「4-6はあるけど6-4はない!」って嘆いている人が多いもん(笑)。流し券とボックス券の組み合わせが、舟券的には正解かな。
石井 穴も狙いたいんですけど…。
長船 平和島が面白いのは、スタート展示で極端な伸びの差があれば、大胆な予想ができる点。他のレース場じゃ、1や2がスタート展示でズリ下がっていても切ることはできないでしょ? 平和島なら、スタート展示で明らかに行き足が足りない1、2はぶった切れる(笑)。冬場特有の向かい風が吹いていれば、なおさら1や2を見切った穴券が獲れるよ!
石井 僕も大胆に予想しますよ!
長船 スタート展示で極端な伸びの差があれば、なんだけど…。
石井 もう、クイーンズクライマックスの舟券作戦は決まりましたね! 本場でも、チケットショップでも、電話投票でも、長船さんの「直前予想」を見て舟券を買えば“鬼に金棒”ってことです。僕の舟券は「直前予想」におんぶに抱っこで行きます!
長船 頑張ります(笑)。