きりゅう じゅんぺい 1986年(昭和61年)10月7日生まれ。埼玉支部・100期。
2007年5月、戸田でデビュー。11年8月、戸田・タイトルで初優勝、14年9月、戸田・ヤングダービーでGI初優勝。15年3月の尼崎・オールスターでSG初優勝を飾る。17年にはグランプリを制し、埼玉に初めて黄金のヘルメットを持ち帰った。
なかだ りゅうた 1988年(昭和63年)4月10日生まれ。埼玉支部・104期。
2009年5月、戸田でデビュー。13年9月、戸田・タイトルで初優勝、17年4月、丸亀・周年記念でGI初優勝、9月の蒲郡ヤングダービーで2回目のGI優勝を飾り、初のグランプリ出場を果たした。
戸田で7年ぶりにSGが開催される。シリーズを引っ張るのは地元のスター・桐生順平と中田竜太だ。周囲に流されず、自分に軸を置く桐生と、陸上と水面で違う表情を見せる中田。互いに刺激し合う埼玉支部の「最強ツー・トップ」が、地元の大舞台を大いに盛り上げる!(インタビュー&構成/『マンスリーBOAT RACE』石井誠司)
桐生 順平選手 データ室(2019年2月20日現在)
◆通算成績 |
|
出走回数 |
優出 |
優勝 |
2連率 |
3連率 |
全種別 |
2,681回 |
122回 |
36回 |
50.7% |
69.2% |
SG |
404回 |
12回 |
3回 |
37.1% |
57.7% |
GI |
707回 |
27回 |
8回 |
48.0% |
68.2% |
◆全国成績(最近3節) |
19年 |
2月 |
平和島 |
GI・地区選 |
6 1 2 2 2 2 1 1 |
19年 |
1月 |
常 滑 |
GI・周年 |
2 2 2 F 1 6 1 3 |
19年 |
1月 |
蒲 郡 |
GI・周年 |
3 3 1 3 1 1 1 5 |
◆戸田通算成績 |
勝率 |
2連率 |
3連率 |
優出回数 |
優勝回数 |
GI |
GIII |
一般 |
GI |
GIII |
一般 |
7.30 |
58.8% |
76.4% |
5回 |
4回 |
21回 |
2回 |
2回 |
7回 |
◆戸田成績(最近2節) |
19年 |
1月 |
タイトル(正月戦) |
1 1 1 1 1 1 1 1 1 |
18年 |
8月 |
タイトル(お盆戦) |
1 6 1 1 1 2 1 2 5 |
彩の国・埼玉で名のある先輩たちが成し遂げられなかったグランプリ制覇の“覇道”を恵まれた素質と血がにじむ修行の末、恐ろしいほどの強さを身につけて達成した。
舟券バトルの舞台、戸田大橋の真上から桐生順平のターンを見て欲しい。初動の入れ方、レバーの当て方、そしてターンスピードと、次元が違うのがわかる。プロ初優勝、GI初優勝を飾った戸田で、桐生順平の舟券を外して買うのは的外れ。コースを問わずに狙えて、最後まで舟券を握り締めて応援できる、“戸田舟券の覇王”だ。
しかし、覇王にも弱点がある。「戸田の初戦は独特の雰囲気があって難しい」と言うスタート。この1点さえクリアしてしまえば、圧倒的な闘気と全てを打ち砕く旋回力でクラシックを制圧する。
中田 竜太選手 データ室(2019年2月20日現在)
◆通算成績 |
|
出走回数 |
優出 |
優勝 |
2連率 |
3連率 |
全種別 |
2,186回 |
72回 |
21回 |
45.0% |
60.5% |
SG |
126回 |
0回 |
0回 |
28.6% |
43.7% |
GI |
518回 |
12回 |
3回 |
38.6% |
55.0% |
◆全国成績(最近3節) |
19年 |
2月 |
平和島 |
GI・地区選 |
3 3 2 2 1 2 2 2 |
19年 |
2月 |
びわこ |
一般競走 |
3 1 3 2 5 3 3 1 1 1 1 |
19年 |
1月 |
江戸川 |
GI・周年 |
3 5 4 2 3 6 3 6 2 |
◆戸田通算成績 |
勝率 |
2連率 |
3連率 |
優出回数 |
優勝回数 |
GI |
GIII |
一般 |
GI |
GIII |
一般 |
6.53 |
49.2% |
63.2% |
4回 |
0回 |
16回 |
1回 |
0回 |
6回 |
◆戸田成績(最近2節) |
19年 |
1月 |
タイトル(正月戦) |
3 3 3 1 1 6 1 2 2 |
18年 |
10月 |
GI・周年 |
3 2 3 4 2 3 2 4 |
優しい顔をしたファニー・フェイス。陸の上での立ち居振る舞いも柔らかく、「竜太があんなに強くなるとは思わなかった」と埼玉支部の先輩たちが語る。戦績を見ると失敗や挫折を経て、さらに強くなっているのが見てわかる。多くの悔しさや涙を背負い、それを強さへと変えて成長していった“戸田の舟券救世主”が中田竜太だ。
最近5節でGI優勝を含む5優出V2と中田竜太の戸田の強さは神懸かり的。戸田でリミッターが外れたときの強さは「桐生順平並みか、それ以上」というのは、桐生本人も認めている。
中田はとにかく出だしが大事。初戦で大きなミスをするとズルズルと引きずってしまうタイプ。鬼門である初戦さえクリアできれば、クラシック最終日、最終レースで“覇王”と“救世主”の直接対決が見られるはずだ!
SGボートレースクラシック 歴代優勝者
回 |
開催場 |
優勝者 |
第1回 |
平和島 |
長瀬 忠義 |
第2回 |
住之江 |
竹内 虎次 |
第3回 |
住之江 |
石川 洋 |
第4回 |
戸 田 |
岡本 義則 |
第5回 |
住之江 |
加藤 峻二 |
第6回 |
蒲 郡 |
松尾 幸長 |
第7回 |
福 岡 |
石黒 広行 |
第8回 |
浜名湖 |
鈴木 文雄 |
第9回 |
常 滑 |
彦坂 郁雄 |
第10回 |
下 関 |
石原 洋 |
第11回 |
住之江 |
常松 拓支 |
第12回 |
下 関 |
山本 泰照 |
第13回 |
丸 亀 |
北原 友次 |
第14回 |
浜名湖 |
松尾 泰宏 |
第15回 |
蒲 郡 |
中本 逸郎 |
第16回 |
児 島 |
平尾 修二 |
第17回 |
下 関 |
彦坂 郁雄 |
第18回 |
平和島 |
高峰 孝三 |
第19回 |
常 滑 |
増沢 良二 |
第20回 |
平和島 |
黒明 良光 |
第21回 |
平和島 |
古川 文雄 |
第22回 |
蒲 郡 |
国光 秀雄 |
第23回 |
戸 田 |
彦坂 郁雄 |
第24回 |
戸 田 |
高橋 博文 |
第25回 |
平和島 |
岩口 昭三 |
第26回 |
平和島 |
野中 和夫 |
第27回 |
蒲 郡 |
鈴木 幸夫 |
第28回 |
戸 田 |
植木 通彦 |
第29回 |
平和島 |
大森 健二 |
回 |
開催場 |
優勝者 |
第30回 |
平和島 |
服部 幸男 |
第31回 |
平和島 |
中道 善博 |
第32回 |
住之江 |
西島 義則 |
第33回 |
丸 亀 |
西島 義則 |
第34回 |
児 島 |
今垣光太郎 |
第35回 |
浜名湖 |
矢後 剛 |
第36回 |
尼 崎 |
烏野 賢太 |
第37回 |
平和島 |
野澤 大二 |
第38回 |
戸 田 |
西村 勝 |
第39回 |
福 岡 |
今村 豊 |
第40回 |
多摩川 |
笠原 亮 |
第41回 |
平和島 |
中澤 和志 |
第42回 |
平和島 |
濱野谷憲吾 |
第43回 |
児 島 |
松井 繁 |
第44回 |
多摩川 |
池田 浩二 |
第45回 |
平和島 |
山口 剛 |
第46回 |
戸 田 |
震災のため中止 |
第47回 |
戸 田 |
馬袋 義則 |
第48回 |
平和島 |
池田 浩二 |
第49回 |
尼 崎 |
松井 繁 |
第50回 |
尼 崎 |
桐生 順平 |
第51回 |
平和島 |
坪井 康晴 |
第52回 |
児 島 |
桐生 順平 |
第53回 |
浜名湖 |
井口 佳典 |
第54回大会戸 田 優勝戦 2019年3月21日(祝)・第12レース
|
●第46回大会は「SG東日本復興支援競走」として2011年8月に代替開催(優勝者・重野哲之)
「正月に完全優勝した
27号機は、スタートして伸びるモーターじゃなくて、道中で伸びるタイプ。間違いなく良いモーターだけど、クラシックはこれじゃないやつを狙っています。5基ぐらい良いモーターがあるんですけど、それはシークレット。引けたら言いますよ(笑)」
「僕がお盆戦で優勝した
11号機は良いなと思っています。ただ、日が経っているのでどうかな? 戸田の数字のあるモーターは良いモーターだと勝手に思っています(笑)。
だから、クラシックは勝率のあるモーターを引けると良いですね」
モーター2連率ベスト10 2018年6月(使用開始)~2019年2月17日
順位 |
モーター番号 |
2連率 |
勝率 |
優出 |
優勝 |
1 |
27 |
50.9% |
6.60 |
7 |
3 |
2 |
28 |
50.0% |
6.55 |
7 |
2 |
3 |
11 |
48.0% |
6.34 |
4 |
2 |
4 |
32 |
45.3% |
6.02 |
2 |
0 |
5 |
15 |
45.0% |
5.86 |
3 |
0 |
順位 |
モーター番号 |
2連率 |
勝率 |
優出 |
優勝 |
6 |
9 |
44.1% |
5.71 |
3 |
2 |
7 |
55 |
43.5% |
5.98 |
5 |
1 |
8 |
54 |
43.3% |
5.71 |
5 |
0 |
9 |
19 |
43.2% |
5.99 |
3 |
0 |
10 |
38 |
43.1% |
6.08 |
4 |
1 |
●戸田はチルト0.5度まで使用できます。
声援もヤジも本物である証拠 結果と自分の折り合いが大事
― クラシックの選出基準は年間優勝回数です。昨年1年はどうだった?
桐生全然ダメでした。納得できていません。
中田僕は去年に限らず、SGで納得できる成績を残して家に帰ったことがないんですよ。成績表を見ても、まったく活躍していませんね。2年前の丸亀周年は1着を並べて優勝したけど、あの年もSGでは活躍できなかった。実力がないのかな(苦笑)。
桐生でも、結果を出せなかった原因がモーターだとは思わない。決してモーターだとは思いたくない。理由を聞かれて答えられるものでもないし、レースは勝負ごとなので、そのときの流れとかリズムもある。そこが難しいんですよね…。
―「モーター絶対」の時代だけど、機力が原因ではない?
桐生んー、僕は「モーター絶対」って言葉そのものに違和感を感じる。「何なの?」って感じですね。モーターの調整にしてもそう。止め系、回し系と言っても、お客さんには伝わらないでしょう。
中田でも、モーターに特徴があると調整も早いし、嬉しくないですか? 僕はちょっとでもどこかに特徴があると嬉しい。心に少し余裕ができます。着がまとまっているときは、舟足が良いときが多いですよ。
桐生僕はレースをするのに一番大事なのは、メンタルだと思う。勝つのも負けるのも自分だし、その自分をどうするかが一番大事です。
中田確かに、ダメなときはズルズルと行っちゃう…。
桐生メンタルで言えば、ヤジも声援の一つだと思うんです。そんなに応援ばかりしてくれとは思いません。お客さんは舟券を買って、僕らは将棋のコマになるんですから。
中でも、尼崎のヤジは凄いですよ。でも、そのヤジが好き(笑)。実際に舟券を買ってもらったということでしょう。ヤジられてナンボじゃないけど、ヤジられてこそ本物で、それが“プロ”なんじゃないかなと思います。
― そういえば、13年の福岡オールスターで負けた翌日、戸田で練習していたなぁ。「悔しくてボートに乗りたかった」と言っていた。
桐生スタート練習をしに行っただけですよ。回る練習もしていたけど。それもメンタルで、気持ちです。
話がメッチャ逸れていませんか(笑)。
― それで、今年の調子はどう?
桐生今年も流れは良くないけど、成績自体は良いと思います。僕はシリーズの流れを凄く気にするタイプなので、一昨年のグランプリを優勝したときみたいに、流れをしっかりとつかんで、一気に突っ走りたいです。
中田僕のSG・GIでの活躍具合に、調子はあまり関係ないかな?
レースはその場、その場の一発勝負で、1回優勝すれば流れが良くなって、次の節も良い成績が残せるとは思いません。毎節、モーターの良い部分を最大限に引き出せる調整と走りを目指しています。
見た目の可愛さに騙されるな? 冷静沈着な1着ハンター・中田
― 話が変わるけど、お互いの印象は?
桐生可愛い後輩です(笑)。見た目は可愛い感じだけど、芯がしっかりしている。陸の上と水の上じゃ全然違いますね。レースにパンチ力があるし、レース運びを間違えない。組み立て方は上手だなと思いますよ。
中田凄く頼りになる先輩です。「あーしろ、こーしろ」と言うんじゃなくて、背中で語ってくれる安心感があります。雰囲気や佇まい、考え方を含めて、見習うことの多い先輩です。今までもレースやターンは真似をできる部分で真似をしていたんですが、これからは選手としての桐生さんを見習っていきたいと思います。
― ピットで“桐生オーラ”を放っているよね。レインボーの(笑)
桐生オーラ放ってますか? そうかなぁ~。でもレインボーなら良いじゃん。確定で確変じゃないですか(笑)。
中田オーラを放っていても、すぐにふざけますよ(笑)。
桐生竜太はそう言ってくれるけど、それほどしっかりはしていないんですよ。
地元SGでも変わらない桐生 戸田とは相性バツグンの中田
― 2人にとって、地元・戸田とは?
桐生地元ですし、一番思い出がある場所です。今の自分があるのは戸田のお陰じゃないでしょうか。このコメントは100点ですね(笑)。
ただ、戸田だからって心掛けていることは何もありません。普段の生活をしていて、一時だけ自分が変わるなんて、ないじゃないですか。SGでも一般戦でも、地元でも他場でも僕は僕、何も変わりません。
何かあって変わるのは僕じゃない、周りの接し方なんです。グランプリを勝ったから、地元の戸田開催だからと見方が変わる。悪い言い方をすれば、勝手にそう見られる。
― 決めつけられるのはイヤ?
桐生正直、「やめてくれ」って思う。自分も変わってしまいそうだから。気兼ねなく、普通に接してもらうのが一番です。でも、一方に「そういうのって面白いなぁ」と思う自分もいる。
昔と比べたら、考え方や発言も大分変わりました。良い意味で大人になりましたね。
― 中田君は戸田だと強くなるよね?
中田僕にとって戸田は特別な水面です。ここ数年は特に、戸田とは本当に相性が良いなと感じています。
GIでも一般戦でも、とにかく戸田では勝ちたいから、戸田を走るときはいつも緊張していますよ。特に1戦目が緊張します。
― なんで1戦目?
中田出だしが肝心なタイプなので(笑)。
― それでも地元ファンの声援は違うでしょ?
桐生戸田のファンは優しくてあったかいです。言い過ぎですけど、家みたいな感覚があります(笑)。
中田戸田はレース場へ足を運んでくれる人の数も多いんです。だから「見られている」という感じが凄くする。勝って応えたいと思うから緊張しますね。あとは桐生さんと同じで、戸田のファンはあったかいです。
桐生戸田で大きな歓声があがると、自分のモチベーションも上がる。それが凄く良いですね。でも、戸田でヤジられるのは絶対イヤ(笑)。
自分の持てる全てを出して、戸田クラシックを盛り上げる
― 初めて走る、地元戸田のSGです。2人はどう臨む?
桐生今回のクラシックは「これがSGレースなんだ!」と思えるような、最高峰の戦いになると思います。戸田はインばかりじゃなく、何でもありの水面だし、それを面白くするのが僕らの役目です。
中田僕は、僕が戸田のSGを走ることが、まだ自分で想像できない…(苦笑)。
桐生戸田のクラシックは、見る側にとっても、走る側にとっても、間違いなく面白いレースになりますよ。
中田優勝するとか大きなことは言えないけど、やれる準備は全部して、自分の全てをぶつけて、最終日に燃え尽きられるよう、精一杯の仕事をします!
桐生僕たち2人のレースを見に、現地に来てください!!