ボートレース戸田「4」の研究

イン絶対の傾向に流されるな! ボートレース戸田「4」の研究 桧村 賢一 ●ボートレースライター

戸田のインは24場で“最弱”

インコースが幅を利かす最近のボートレースの中で、“イン最弱”のレース場といえば戸田だ。最近6ヵ月のイン1着率44.1%は24場中で最下位、1日の半分以上はインが負けている計算になる。

最近6ヵ月1コース1着率ランキング(2018年9月1日~2019年2月11日)

順位 レース場 1着率
1 大 村 69.6%
2 徳 山 63.3%
3 芦 屋 61.0%
4 58.2%
5 下 関 58.0%
6 宮 島 57.7%
順位 レース場 1着率
7 住之江 57.4%
8 児 島 57.3%
9 唐 津 57.0%
10 若 松 55.9%
11 蒲 郡 55.8%
12 常 滑 54.9%
順位 レース場 1着率
13 尼 崎 54.6%
14 多摩川 53.8%
14 びわこ 53.8%
16 福 岡 53.5%
17 浜名湖 52.7%
18 三 国 52.6%
順位 レース場 1着率
19 桐 生 51.1%
20 丸 亀 50.3%
21 鳴 門 49.6%
22 平和島 47.0%
23 江戸川 44.6%
24 戸 田 44.1%

2~6コース1着率ベスト5

2コース 3コース 4コース 5コース 6コース
1 江戸川 19.2% 1 鳴 門 15.6% 1 戸 田 15.7% 1 戸 田 7.8% 1 江戸川 4.9%
2 びわこ 17.3% 2 戸 田 15.5% 2 平和島 13.5% 2 平和島 7.7% 2 常 滑 3.5%
3 三 国 16.5% 3 江戸川 15.4% 3 常 滑 12.5% 3 桐 生 7.4% 3 平和島 3.4%
4 住之江 16.2% 4 三 国 14.2% 4 丸 亀 12.4% 4 常 滑 7.0% 4 鳴 門 2.9%
5 平和島 16.1% 4 福 岡 14.2% 5 鳴 門 11.9% 4 尼 崎 7.0% 5 2.5%
※戸田は7位 ※戸田は18位

インが獲り損ねた白星の行き先はどこか? 全国トップの1着率を誇る4コースである。


4コース優遇の水面レイアウト

2艇の間隔
150m直線での差

10m 0.33m
11m 0.40m
12m 0.48m
13m 0.56m
14m 0.65m
15m 0.75m
16m 0.85m
17m 0.96m
18m 1.08m
19m 1.20m
20m 1.33m
21m 1.46m
22m 1.60m
23m 1.75m
24m 1.91m
25m 2.07m

東京オリンピックの漕艇会場だった戸田の競走水面は狭く、幅が107.5mしかない。特徴的なのは1マークで、バック側の広さを確保するために、ターンマークをスタンド寄りに振っている。

インと4コースの間隔を13mと仮定すると、4コースが150m直進すれば1マークに到達できるのに対して、1コースは斜めに150.56m走らなければならない。その差は0.56m。ボートの全長は約3mだから、スタートなど条件を揃えても、4コースが1/6艇身前に出る計算だ。

それだけではない。コース幅が狭いと6艇の横の間隔も窮屈になる。ホーム側もバック側もスペースが足りないので、交差旋回をするのが難しい。

そのうえ、インが斜めに走っている分、ともに直進した場合よりも、インに対する4コースの角度がきつい。旋回に入る前の時点で、既に少し捲られているような角度になる。戸田のインは、つねにハンデを背負っていると言えるだろう。


4コースの1着は捲りが6割

一方、4コースはまっすぐ走るだけでインを潰せるので、1着の決まり手も捲りが多い。269回の捲り決着のうち4コース捲りは36.8%、4コースの1着165回中、60%は捲り勝ち。また、4コースが展示1番時計をマークしたときの1着率は27.1%と、全国平均17.7%よりも10%近く高い。

最近6ヵ月進入コース別成績(2018年9月1日~2019年2月11日/1,056レース)

進入コース 勝率 1着率 2着率 3着率 平均ST 決まり手別1着回数
逃げ 捲り 捲り差し 差し 抜き 恵まれ
1コース 7.43 44.1% 20.1% 12.5% 0.16 431回 0回 0回 0回 32回 1回
2コース 5.68 15.8% 23.6% 17.8% 0.17 0回 48回 0回 106回 11回 1回
3コース 5.36 15.5% 18.8% 18.5% 0.17 0回 89回 40回 18回 15回 1回
4コース 5.17 15.7% 15.5% 16.3% 0.16 0回 99回 26回 27回 12回 1回
5コース 4.63 7.8% 14.6% 21.4% 0.17 0回 30回 40回 4回 7回 1回
6コース 3.33 1.5% 7.8% 14.0% 0.19 0回 3回 9回 3回 0回 1回

ただし、3連単の出目は415412451とイン絡みが多い。安易に「4コースの捲りだから外2艇を」と考えてはならない。


シード番組の影響は2%程度

では、シード番組の影響はどうだろうか。「4号艇にA級・ほかはB級」という4コース優遇の企画レースを実施しているのは、桐生1R「一獲千金レース」と、戸田2R「ウインウイン2」の2つ。この2レースの、昨年1年の4コース1着率を比較すると桐生が37.4%、戸田は42.3%だった。昨年の戸田4コース1着率は16.9%だ。

強い選手がシードされると1着率は一気に跳ね上がる。戸田では、意図した4コースかどうかの見極めが必要になる。予選では番組マンの意図が重要になるし、準優勝戦や優勝戦ではメンバーの構成がポイントになる。


水面より強い!番組マンの仕込み

ここまで戸田の4コースの強さを強調してきたが、どんなレースでも4コースが主導権を握るというわけではない。戸田特有の「仕込み」があるからだ。

仕込むのはもちろん、番組マンである。4号艇にスタートの遅い選手や、差ししかしない選手、F持ちや機力劣勢の選手を置けば、水面の特性を生かせないのでスロー勢が勝つ。

反対に、捲りで攻める選手やスタートの早い選手、伸びが強力な選手を4号艇に配置したときは、2、3コースにベテランかF持ちの選手を必ず配置する。4号艇が捲りに行くよう誘っているのだ。あとは、4号艇が誘いに乗るかどうか。

今回のクラシックでも、番組からの“甘い誘い”があるだろう。せっかくのお誘い、断る理由はどこにもない。