畑田汰一インタビュー
定松勇樹がSG覇者となり存在感を増してきたボート界のZ世代。2021年の最優秀新人選手に選ばれた畑田汰一もその一人だ。レーサーの中で最も高い長身から繰り出すダイナミックなターンは、無限の可能性を秘める。A2級が続いた時期もあったが、近況は2期連続A1級と復調。ヤングレーサーのナンバー1を決める大会に向けて、意気込みを聞いた。 (インタビュー&構成/土屋幸宏)
ターンは茅原悠紀をイメージオリ展で無色なら機力劣勢?
― 後輩の定松勇樹選手がオールスターでSG覇者になり、同期の中村日向選手はGI覇者に。同世代の活躍が増えてきましたね。
畑田 これまで同世代の活躍には悔しい気持ちとかありましたが、定松のSG優勝は、素直に「凄いな」と思いました。皆から可愛がられるタイプで、後輩ですけど、全ての面で上という感じです。特に調整力が凄くて、エンジンを出すんですよ。
同期の日向がGIを勝ったことは“嬉しさ半分、悔しさ半分”ですね(笑)
― 畑田選手と言えば、176cmの長身を活かした豪華なターンが印象的です。
畑田 身長はデビュー後に4cm伸びました。ターンは同じく高身長の茅原悠紀さんをイメージしています。ターンで意識しているのは、旋回半径をできる限り小さくすること。身体をボートから外に出して、艇を返す感じです。背が高いからできるターンだと思っています。
― 好不調の判断基準は?
畑田 成績が良かったらリズムが良いみたいなので、4、5日目にようやくわかる感じ…?
スタート展示は、なるべく早いタイミングを狙っています。周回展示はターン入口の掛かりと、ターンの出口がスムーズかどうかを気にしていますけど、展示で乗りづらくても、意外と本番行ったら乗りやすいこともあります。
オリジナルタイムの1周タイム(桐生では半周タイム)は、赤や黄色がつくほうです。どの項目にも色がついていない時は、エンジンがあまり良くないと思います。
デビュー後は攻めるレースで水神祭、初優勝と順風満帆
― ボートレーサーになったきっかけは?
畑田 高校を卒業するタイミングで父親に勧められ、ボートレースを見たら、カッコ良かったんです。試験は1回で受かりました。養成所に入る前に、桐生順平さんが優勝した児島のクラシックも見に行きました。
― 実は私、養成所で畑田訓練生と一緒に練習しているんですよ。選手招聘で。ボートに乗るのが他の訓練生と比べて上手かったことを覚えています。養成所のリーグ戦勝率も6.40と高かった。デビュー節では見事初1着を獲りましたね。
畑田 養成所の訓練は大変でしたが、基本的には上手く行った感じです。ボートに乗ることが好きなまま、訓練を終えられました。デビュー節で勝てたことは、自分が一番ビックリ(笑)
― 2020年5月、江戸川で5000番台初の優勝者となりました。風速9mの状況で…捲り!?
畑田 2コースからの捲りでした。水面が結構荒れていて、安定板もついていたんですけど、優勝するなら捲りにいったほうが良いかなと思って。思い切って攻めました。
2021年最優秀新人選手になるもGIで苦戦してリズムダウン
― 6期目には3優勝してA1級勝率を確保。その年の活躍を評価され、2021年の最優秀新人選手に選ばれました。
畑田 養成所時代からそこまでが、一番リズム良く行けたなって感じです。最優秀新人選手を受賞できたことは嬉しかったですが、過去に受賞している先輩方を見ると、今の成績では「まだまだだな」と思っています。
― 最優秀新人受賞後はA2級が続きました。受賞がプレッシャーに?
畑田 めちゃくちゃプレッシャーを感じていたかって言われたら、そんなにないんですが…。膝のケガやF2もあって、思うようなレースができませんでした。
― 現在は2期連続A1級と復調気配ですね。
畑田 復調のきっかけとかは特にないですが、一度A1級になったので、絶対に戻れると思っていました。A2級に落ちたらダメだって思っていましたし、A1級が当たり前って成績を残さないと、もっと上には行けないなって。
あと、ケガをしてからは、トレーニングや身体のメンテナンスにも力を入れるようになりました。それが良かったのかな。
― GI出場も増えましたが、どうですか?
畑田 最初の頃は「GIをとりあえず経験しないと!」みたいな気持ちだったんですけど、GIではエンジンによる部分が大きく、やっぱり伸びを上乗せしないと戦えないです。
全く結果が出ないので、焦りもあります。そろそろ結果を残さないと、GIに呼んでもらえなくなりそうで…。
リムジン前検入りはしないけどGIタイトルは欲しい!
― ヤングダービーの舞台となる、桐生水面の印象は?
畑田 結構好きなイメージです。前回(2022年8月)はF2の休み明けで優出できたこともあり、相性が良いんじゃないかなと勝手に思っています。ナイターもあまり気にならないです。
8月のGI芦屋周年で師匠の中田竜太さんと一緒だったんですが、その節に教わったプロペラの形が良かったので、その形を元に、ヤングダービーまでにいろいろと試せたらなと思っています。
― 桐生と言えば、GI新鋭王座決定戦(2013年)で、埼玉支部8選手がリムジンで前検に乗り込んできましたね。今回も…?
畑田 あの時は桐生順平さんなど、本当に強い人たちの集まりだったからできたことで、さすがに今回は考えていません!
― GI、獲りたいですよね?
畑田 獲りたいです。最近は本当ダメダメなんで、目に見える結果が欲しい。GIを獲ったり、自力でSGに出たりしたいです。ヤングダ ービーは優勝をきっかけに飛躍されているレーサーが多いですし、師匠も獲った大会ですので、本気で獲りにいきます!
― SGを勝つことは?
畑田 SGに出てから考えます(笑)
2018年5月、戸田でデビュー。20年5月、江戸川で初優勝。21年9月、宮島周年でGIデビュー。23年2月、江戸川・関東地区選でGI初優出を果たす。21年にはルーキーの中で獲得賞金1位、勝率1位の好成績を残し、最優秀新人選手に選ばれた。
師匠は第4回ヤングダービー覇者の中田竜太、同期には安河内健、原田才一郎、中村日向らがいる。