徹底的にたゆまずやり通すことで得た
成功体験が宝もの。
レースにテストはない。

峰 竜太選手

PROFILE

峰 竜太選手

佐賀県唐津市出身。唐津西高校卒業。
2015年から2018年までの4年連続で、約1600人中トップの最高勝率をマークし続けている。
2018年年末にはボートレース界最高峰のSGグランプリ(賞金1億円)で優勝。ファン投票の順位も2年連続トップなど、名実ともにボートレース界の第一人者。(※2019年4月現在)

名実ともに、ナンバーワンレーサーが語る

名実ともに、ナンバーワンレーサーが語る

「ボートレースは競走である。ファンは着順を予想し、ボートレーサーは着順を争う。オッズはファンの期待値を示している。見方を変えれば、「この選手が勝つ」という最大期待値に応えられるのは一人しかいない。1600名ほど登録されているプロのボートレーサーの中で誰が最も強いのか…。その問いに、多くが峰竜太と応えるだろう。2018年のグランプリレーサーとなり、最優秀選手に輝いただけではない。2015年から4年連続で勝率ナンバーワンを記録し、ファンが選ぶオールスターも2年連続で1位に輝いている。名実ともに、今のボートレース界のトップである。
SG優勝戦で敗れ泣きじゃくる姿が『泣き虫王子』と称されたこともあるが、涙には理由がある。
その根底に迫る。

原動力は、勝つことへの欲ではない

原動力は、勝つことへの欲ではない

峰竜太が高校時代ヨット部だったのは結構知られていることだ。中学時代はバスケットをしていたが、「1位がいてビリがいるレースの面白さ、個人競技の醍醐味に惹かれた…」という。おまけにそれまでヨットを経験している者がほとんどいない。ゼロから一斉にスタートできる。FJ・フライングジュニアという種目に峰は打ち込んだ。
「まず基本ですね。基本を学んで早くレースができるようになりたいと必死に練習しました。ボートレースと一緒で、レース艇に良し悪しがあるんです。結果を残せている者に、よりいい艇が割り当てられます。最初が肝心だと思いました。休みの日も乗って、誰よりも練習したと思います」。進学したのがヨットの強豪校であったこと、熱くなる性格だったことから物語は始まる。
「一生懸命練習していると、抜きん出たいという気持ちがどんどん沸いてきました。なんていうんでしょうか。急に目覚めたというか…。勝つことへの欲求ではなくて、努力することへの欲求です」。
峰は、高校時代に成長のメソッドを会得したのだ。競技をすれば何らかの差がつくが、その差とは何であるか…という問いへの答えである。
①最初はセンスの差
②次に向上心の差
③そして努力の差 である。

方法が分かるとすべてに応用できる

方法が分かるとすべてに応用できる

ヨットで目覚めた峰は、その後県大会と九州大会で優勝する。すると、ある意欲が沸いてきたという。
「ヨットでできたんだから、勉強でもできるんじゃないかって思ったんですね。それに火をつけてくれたのが数学の先生でした。正直、数学は苦手で赤点もあったんですが、ある時、その先生から『峰、おまえはやればできる。次のテスト全力でやってみろ!』と言われたんです。それが、妙に心に刺さりました。先生がそこまで言ってくれるんだから、先生のためにもやってみようと…」。単純といえば単純だが、ものごとを複雑に考えるよりははるかにいい。素直に向き合えるからだ。
結果、何とその数学でいきなり100点を取る。
こうした体験があるからだろう。峰の中に「勝負は一回!」という気持ちが強くなっていったようだ。そのたった1回の真剣勝負のために、向上心をもって努力することを学んだのである。成長のスパイラルは威力を発揮し数学で4回連続100点、他の教科でも満点を取るまでになっていた。
峰はこう述懐する。

「文武両道、両方で得た成功体験が自分にとって、とても大きな財産だと思います!」。

努力は、井戸掘りに似ている

努力は、井戸掘りに似ている

ヨットに勉強と、濃密な高校時代を過ごした峰だが、実は高1の時にボートレーサーを志向している。その後、大学から進学の誘いも来たが志を通した。ただ、1回で合格できず2回目に願いが叶っている。
「減量のため食事も摂らず毎日ずっと走っていました。走って走って走っていました。だから落ちたときはつらかったです。それに、勝負は1回って決めていた自分もいて、ああ、これでボートレーサーへの道も終わりなんだと思うと泣けて泣けてしかたなかった」。
そんな峰を動かしたのは、弟のことばだった。『自分の気持ちに素直になったほうがいいぞ!』。過去にないほど決然としていた。峰は身をもって言葉の力を知っている人物である。

95期で入った養成所では2位の勝率7.16をマークし、その片鱗をのぞかせている(因みに1位は岡村仁の8.09)。

そして、プロになってからの峰は凄まじかった。デビュー半年で優出(下関・4着)するといきなり4.30の勝率をマーク。1年1ケ月で初優勝を飾っている(からつ)。勢いそのままに成績を伸ばし3年目にはA1に昇格したのだ。順風満帆に見える。
しかし、実像は違う。とてつもない努力を重ねていたのだ。
「できるまでやる。できなければ人の10倍、いや100倍。センスのいい人に追いつくためには、センスのいい人の何十倍も何百倍もやればいいだけ。ボートに乗って乗って乗り尽くすこともそうですし、プロペラについていえば、考えて考えてやってみて直して考えてやってみて…できるまでやるしかないんです」と熱を込めて語ってくれた。

練習では試さない。試すのは本番!

練習では試さない。試すのは本番!

4年連続で最高勝率をマークする峰に強烈なコース取りは存在しない。つまり、コースで勝っているわけではないことは一目瞭然。どのコースからでも上位着をとることができるのだ。そのために峰が大切にしていることがある。あの「1回勝負」の精神だ。
「もっとうまくなるために、もっと強くなるため、もがくんですが、こうしたらどうなるだろうかっていう新しい方法は、練習では試しません。本番でいきなりやってみます。それも大きい舞台がいいです」と語る。普通は練習でたくさん試してから本番に向かうが、「練習なしの1回の本番」であるべきという。
黄金のヘルメットをかぶった2018年のグランプリ。トライアルセカンドの最終戦で峰は5コースから目の覚めるようなまくり差しを決めて勝利し、グランプリ優勝戦の1号艇を決めた。あのまくり差しの価値は、究極の場面で初めて試したターンだったところにある。勝負強さの極みだろう。
「もっと強くなりたいと思っていますが、強さとは何なんでしょうか?勝率・賞金・タイトルの数などいろいろありますが、今の自分は『勝負時の強さ』だと思っています」と結んだ峰竜太。
屈託のない笑顔、敗れた時の涙、ファンへのサービス、正直な発言…。
峰竜太に秘密がないのは、秘匿する必要がないほど愚直でまっすぐな努力しかそこに存在しないからだろう。そういう意味で峰竜太が社会に投げかける価値の意義は大きい。

4年連続最高勝率のグランプリレーサー
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峰竜太選手の「サーフィン」

峰竜太選手の「サーフィン」3年前。友人に勧められるまま楽しむことになったのがサーフィン。気分転換ができ、思いのほかリフレッシュできることを知った。さらに、ボートレースとの共通点から得たものも大きいという。「二度と同じ波に巡り合わないサーフィンから、一発勝負の本当の醍醐味を学んだ」のだ。峰竜太の戦いの根底にある『一期一会』の精神である。
地元唐津市の名勝・立神岩(たてがみいわ)付近で波乗りすることが多いが、県外のほか、ハワイに行くこともあるという。「ハワイの大きな波の中を通るチューブライドができたらいいですね…」と朗らかに笑った。持っているボードはショートボード8枚に、ミドルとロングがそれぞれ1枚ずつ。レーサー仲間では安河内将選手などと楽しんでいる。